■苦戦が続く今大会のサウジアラビア
開幕戦となったロシアとの初戦、0−5の大敗を喫したサウジアラビアは2試合目の南米の雄・ウルグアイとの試合でも前半にセットプレーから失点を許す。攻撃でもウルグアイの堅い守備を攻略できず、初戦に続きこの試合でもゴールを奪うことができなかった。ボールポゼッションではウルグアイを上回り、終始前に出てセットプレーでも相手ゴールに迫った。また、ゴールキーパー・アルオワイスがウルグアイのもう1人のエース・カバーニの決定的なシュートを防ぐなど、必死のセーブで食い下がり最少失点で粘りを見せたが、ウルグアイの巧みな試合運びの前に敗れた。
初戦、2戦目とも、サウジは単純なパスミスが目立ちボールをキープするも効果的な攻めにまで至らず、守備面でもゴール前でのマークが甘く、失点につながっている。ロシア戦では5失点、ウルグアイ戦でも失点シーンではスアレスにフリーで押し込まれた。個の能力、チーム全体の完成度でロシア、ウルグアイとは大きな差があったと言える。
■アジアの古豪としての意地を
2006年ドイツ大会以来の出場となった今回、2戦を終え無得点のままの連敗。1994年のアメリカワールドカップで初出場、決勝トーナメントに進出し旋風を巻き起こしたサウジアラビアは以降、2006年まで4大会連続出場を果たすも、日韓大会から今回まで未勝利。2006年大会のグループステージ2戦目のウクライナ戦からは無得点が続いている。今回もグループステージ突破はならなかったものの、最終戦となる25日のエジプト戦では12年ぶりとなる得点、そして今大会初勝利を目指す。
長らくの低迷から抜け出し、昨年のアジア最終予選では最終節で日本を降すなど、サウジは再びアジアの強豪国として覇権を取り戻した。初出場を果たした1994年アメリカ大会ではGKアル・デアイエ、FWサイード・オワイランらが驚異的な身体能力を見せつけ灼熱のフィールドを席巻、センセーショナルな活躍をみせた西アジアの雄。「グリーンコンドルズ」は最後に意地を見せ、爪痕を残し、未来のために羽ばたくことができるだろうか。(佐藤文孝)