一般論として、プロ野球ペナントレースの対戦カードは主に3連戦で行われ、その初戦を勝利することで2戦目以降を有利に展開できるという。近年では対戦チームとの相性等も汲み、エース投手のカード初戦先発を回避させる戦略もないわけではない。しかし、今季、日ハムが低迷した要因の1つに『カード初戦の弱さ』も挙げられるではないだろうか。
日ハムの初戦勝率はリーグワーストだ。それに対し、偶然かもしれないが、リーグ首位の千葉ロッテは16勝10敗1分け、2位・東北楽天は19勝8敗、3位・福岡ソフトバンクも15勝11敗1分け。奇しくも、ペナントレースのAクラスチームが6割近い勝率を挙げているのに対し、Bクラスチームは『初戦の勝率』は5割以下だ。
この日ハムの初戦勝率の悪さについて、投手出身のプロ野球解説者に聞いてみた。
「今季の日ハムですが、カード初戦の先発は多田野、中村、谷元といった『ローテーションの4番手以降』も投げています。エースの武田勝が本調子でないのも影響しているんでしょうね」
去る6月22日、二軍戦で斎藤佑樹(25)が今季初登板”を果たした。実戦マウンドは『昨年の日本シリーズ第5戦以降』であり、試合後、「自分のなかでは100%(の力)で腕を振れた」と本人は安堵していたが、この男が『エース』としてカード初戦に先発していたら、今季の低迷はなかったのではないだろうか。
出遅れの理由は右肩痛だ。ネット裏に陣取っていたライバル球団の関係者がこう評していた。
「あと、(二軍戦で)2、3回投げたら、一軍に合流すると思うよ。右肩の痛みは解消されたみたいだけど、体全体のキレがないというか、調整そのものが遅れていると思う。後半戦のチームを救うキーマンになるかどうかは、今日のピッチングだけでは判断できない」
ネット裏にはライバル球団の関係者が複数いた。後半戦のカギを握る男として、他球団も警戒を強めているわけだ。
斎藤は『将来のエース候補』として1位指名された。その2010年ドラフト会議当時、日ハムは“エースの風格”を感じ、直前で1位指名を澤村拓一(中央大→巨人)から乗り換えたという。翌11年ドラフトでは菅野智之(東海大→巨人)も強行指名した。2年連続で即戦力タイプの投手を1位指名したのは、ダルビッシュ有の退団後の『新エース』を求めていたからである。
故障はアクシデントだが、今季の斎藤がカード初戦を託せる好投を見せていれば、最下位なんてことはなかったはずだ。(データは6月25日時点)