大谷は最速157キロを出すなど、ストレート中心の投球で、5回86球を投げ、6安打2四球2三振2失点の内容で、1-2とビハインドの場面でマウンドを下りた。その後、日本ハムが追い付いて、3-3の引き分け(延長12回)となったため、大谷に黒星は付かなかった。
150キロを超すストレートでグイグイ押して、ランナーを出しながらも、2失点でまとめた大谷は非凡な才能を見せつけた。その一方で、制球が乱れる点やウイニングショットがないなど、課題も見せた。
大谷は「ボールも甘かったし、ストライクを取りに行ったところを打たれた。真っすぐで押せた場面は良かったし、いいところに決まったスライダーもある。力強く投げた時の方が、狙ったところに球が行っていた。逆にストライクが欲しい時には体が緩んだり課題が多かった。次は攻撃に生かせるようなリズムの投球をしたいです」と自身の投球を振り返った。
対戦したヤクルトの宮本慎也内野手は「今の段階では藤浪(晋太郎=阪神)クンの方が打ちづらいが、投手の練習を(専門に)やっていないなかで凄い。落ち着いて投げている姿が、とても18歳には思えなかった」と、元メジャーリーガーの岩本明憲内野手は「スピードで言えば、間違いなくメジャーの投手に匹敵する」と評した。
栗山英樹監督は「皆さんに見ていただいた通り。なぜ2つやらせたかが、分かってもらえたと思う。結果はもともと求めていない。良くもないし悪くもない」と今後の起用法について明言はしなかったが、二刀流を継続させるとみられる。
この日は木曜日で平日ながら、札幌ドームに3万6608人の観客を動員した。日本ハムの今季の主催試合では、19日の巨人戦の3万7688人、4月28日のオリックス戦の3万6848人に次いで、3番目の動員。ただ、この2試合はいすれも日曜日であるため、平日に限ると4月5日(金曜日)のホーム開幕戦での3万3769人を抜いて、今季最多の動員となった。
あの斎藤佑樹投手がプロ初登板した11年4月17日(日曜日)は、3万7863人を動員しており、大谷の初登板はその数字にわずかに及ばなかった。しかし、斎藤の初登板が日曜日だったことを思えば、大谷の動員力は大いに評価されてしかるべきものだ。
今季も観客動員に苦しむ同球団。特に平日の動員は悪く、2万人を割る試合も多い。斎藤が肩の故障で長期離脱している現状では、“客寄せパンダ”として、“投手”大谷に懸かる球団の期待は、さらに大きくなった。
(落合一郎)