巨人・原辰徳監督(51)が大田泰示内野手(20)の『新・打撃フォーム』に怒りをあらわにした。プロ入り初スタメンとなった6月12日(対ソフトバンク戦)、大田の成長に関する声は賛否両論だった。まず、好意的に捉えていたのは、伊原春樹ヘッドコーチ(61)である。
「いきなりいい投手(和田毅)との対戦で可哀相だったけど、去年よりも成長している」
今季より取り組んでいる一塁守備で『失策』もあったが、好意的に捉える関係者の方が多かったようである。しかし、原監督は違う。むしろ怒っていた。
「大田の今後? 当初は交流戦終了後に二軍に戻す予定でしたが、暫く一軍に帯同させることに変更されました。原監督は直接指導するつもりです」(関係者)
吉村禎章・野手総合コーチ、篠塚和典・打撃コーチも“お目付役”として、大田を鍛え直すつもりだという。これも原監督なりの愛情表現だろうが、「間違った打撃指導がされている」なる発言は、ちょっと気になる。
二軍で“大田担当”の打撃指導役は、荒井幸雄コーチ(45)である。その発言の通りだとすれば、原監督は荒井コーチに不信感を抱いていることになるが…。
「原監督は『腹芸』をやらない人です。良いことはいい、悪いことは悪いとハッキリ言う。単に大田を目の届くところに置いておきたいだけなら、もっと別の言い方をしたはず」(巨人OBのプロ野球解説者)
荒井コーチの引責は免れそうにない。前出の関係者はこう反論する。
「現在(15日時点)、大田は二軍で本塁打、打点の二冠王です。大田の成長は荒井コーチのおかげですよ」
同コーチは昨季まで日本ハムの二軍打撃コーチだった。日本ハムの二軍といえば、中田翔が昨季、本塁打量産を量産し、やはり一軍昇格のきっかけを掴んでいる。巨人が同コーチを招聘したのは、中田を育てた手腕だけではなかったようだ。
「確かに、交渉の席で中田を育てた指導法のことは出ています。でも、荒井コーチの招聘が決まったのは、昨季の日本シリーズの直前ですよ」(前出・関係者)
“異例の時期”だっただけに、当時は「日本シリーズで対戦するファイターズへの陽動作戦」とも囁かれていた。二軍コーチの年俸は2〜3000万円とも言われている。その通りだとすれば、実にカネの掛かった陽動作戦であったわけだが、そこまで姑息な手段は取らないだろう。今回の原発言の真意は一体、何処にあるのだろうか。
「大田の打撃フォームは春先(キャンプ中)と違っていました。原監督は今のフォームにダメ出しをしていましたが、どちらのフォームがいいのかは大田本人が決めること。打てなくなると、すぐに打撃フォームを変えたがる大田に苦言を呈する意味もあったのではないか?」(前出・プロ野球解説者)
不適当な比較かもしれないが、日本ハムの中田は叱られるとフテ腐れたような一面も見せる。大田は指導者の言葉を素直に受け入れるが、「素直すぎる」のも考えものである。
「現役時代の原監督も、そんなところがありましたね」(前出・関係者)
原監督は大田に自分を重ねて見ているのだろうか。その彼に快心のヒットが出れば、一気にブレークするかもしれないが、今回の原発言に二軍スタッフは愕然とされたようである。首脳陣に亀裂が生じないためにも、大田は早く結果を出さなければいけない。