“未完の大器”がついに覚醒した。
開幕前に1日6食1万キロカロリーの食生活&12時間睡眠という破天荒な生活で肉体改造に着手した諏訪魔。初優勝に向けて、初戦の佐々木健介戦から始まる激しい春の祭典5連戦を戦い抜くためのボディーをつくり上げた。
その成果がCC初制覇という結果に表れた。迎えた公式戦最終日、勝ち点4でBブロック首位タイだった鈴木みのるが西村修に敗れる波乱。優勝決定戦進出へ望みがつながった諏訪魔は、宣言通りにジョー・ドーリングにリベンジを果たし、逆転で優勝決定戦に駒を進めた。
相手は5日の開幕戦でタッグマッチで激突した新日プロ・ニュージャパンカップ(NJC)覇者の棚橋。序盤は一進一退の攻防が続いた。エルボーを連打にはエルボーを、ボディースラムを放てば、ボディースラムと互いに意地をむき出し。そんな中、諏訪魔はトペ・スイシーダや変型ドラゴンスクリューからのアンクルホールドなど飛び道具やサブミッションのコンビネーションを披露し、新たなスタイルを開花させた。
だが、棚橋もNJC覇者としての意地を見せ、諏訪魔は逆に追い込まれる場面もあった。ラストライドをダルマ式ジャーマンで切り返されるとスリングブレイド、ハイフライフローと立て続けに被弾。2発目のハイフライフローをカットするも、グラウンドでのドラゴンスクリュー、テキサスクローバーホールドで絞め上げられて絶体絶命のピンチに陥った。
それでも最後は諏訪魔の負けられない決意と執念が上回った。棚橋の猛攻を耐えしのぐとフロントスープレックスから左腕のラリアートを決め、最後は3度目の正直でラストライド(高角度パワーボム)で棚橋をマットにたたき付けて3カウントを奪取。未完の大器がついに悲願の初タイトルを手にした瞬間だった。
試合後、念願の初タイトルを手に入れた諏訪魔は「こんな気分のいい場所は今までねぇよ。ちっちゃい頃から見てたからね、このトロフィーを」と喜びを爆発させた。
「この勢いで」
次なる目標はひとつ。全日プロの至宝を自らの腰に巻くこと。「次は3冠のベルト、この勢いで獲りたい」と宣言した。
春の祭典覇者として3冠王者の健介に挑戦を表明した諏訪魔に、渕正信取締役は「優勝したのであれば次のシリーズ最終戦で、そうせざるを得ないのではないか」と事実上のGOサイン。4・29愛知大会での激突が濃厚となった。
「全日本プロレス、これからどこの団体にも負けない日本一の団体にしたい」とエースの自覚が芽生えた諏訪魔。まずは3冠ベルトを腰に巻き、名実ともにトップを目指す。