シーズン前、たとえ優勝しても「今季限り」と球団から言われ「俺は今年でオシマイ」と常々、報道陣に連呼していた野村監督。球団トップの米田代表、島田亨オーナーも野村発言を肯定していたため、今シーズンの結果いかんにかかわらず、野村監督の解任は「既定路線」化されていたのだ。
だがこの話、球団首脳が「実は今年もBクラスで低迷する」と踏んでいたため「既定路線」となっていたのが真実。まさか、Aクラス…それもシーズンを2位で通過するとは誰も思っていなかったのである。
「楽天側としてみれば、赤字の球団に野村監督の年俸1億5000万円は、高すぎる。4年前、招へいしたのは、野村夫人・サッチーの猛烈な売り込みと初代監督・田尾安志では地味過ぎるという意見が当時、オーナーであった三木谷浩史(現・楽天社長兼球団会長)の元に財界関係から多数寄せられたから。要するに、野村に“客寄せパンダ”をやらせただけ。知名度が上がれば、お役御免は最初から“既定路線”であったわけです」と、スポーツ紙デスクは語る。
仮に、この図式通りだとすると、球団は大きなチョンボを犯したことになる。楽天の順位が一切、考慮されていないことだ。
現に、今シーズン、大躍進を遂げ球団初のAクラス入りを果たし、このまま行けばパ・リーグ制覇も現実のものとなる勢いだ。こうなると、今度は「楽天のお家騒動」だけでは済まなくなる。球団の敵は「野村克也」でなく「世論」となる。
事実、野村監督が親しい記者を“利用”して自らの解任がいかに理不尽であるかを訴え、世論を“洗脳”。「名将」をこのような形で解任していいものなのか…という風潮を作り上げた。
パ・リーグだけにとどまらず日本シリーズも制覇すれば、すんなり「野村解任」とはいかないだろう。
「10月11日、レギュラーシーズン最終日に野村監督は球団からあらためて“今季限り”を言い渡された。ところが、74歳の御大が駄々っ子で球団に注文を付けたのです。それは“日本一になった場合は契約延長を再考する”と言うもの。あまりに野村監督がしつこいので球団は渋々、了解したようですが」(スポーツ紙楽天担当)
それにしてもノムさんの現場…いや「カネ」への執着は相当なもの。来季は75歳。そんなに「カネ」にこだわらず、プロ野球界発展のため、外野から球界全体を見渡してもよさそうなものだ。
「ハッキリ言って、楽天は球団にスポンサーを持って来られない野村監督は不必要なのです。写真週刊誌に三木谷球団会長と星野仙一・阪神SDらが会食をし“三木谷さんは星野さんを来季監督に招へいした”と報じられていましたが、これはあたらずとも遠からず。三木谷さんは、星野SDや東尾修のような人材に長期政権をとってもらいたいのです。勝ち負けなど二の次。球団に利益をもたらす人材こそ本当の監督。それでなかったら、格安の年俸で承諾してもらえる輩です」(前出・スポーツ紙デスク)
楽天側の考え方は実にシンプル極まりない。野村監督が続投を志願するのであれば「年俸を5000万円にすれば済むこと」とスポーツ紙デスクは断言。「カネ」に固執しなければ、特に日本一にならなくても続投の道は開けるというのだ。
実際、ここに来て浮上しているブラウン前広島監督など、その最たる例だ。年俸5000万円の現監督は現状維持の1年契約で間違いなく了承する。
球団から名誉監督の就任を要請されているが「カネ」にも「仕事」にもありつけない肩書だけのポストを野村家が受諾するとは思えない。「カネは引っ張ってこないが、カネはもらう」…これだと、日本一になっても「続投」はあり得ないことになるが。
◎「名采配」にも「?」
シーズン2位通過は自身の「名采配」によるものだと思い込んでいる野村監督だが、関係者の評価は芳しくないのが現状だ。
「今季のパ・リーグは昨年の日本一・西武が中継ぎと抑えの崩壊により自滅。リーグ最多のサヨナラ負け14回がそれを物語っています。昨年2位のオリックスは4本柱と抑えが(昨年の)激闘による疲れで故障と乱調の繰り返し。強力助っ人4人衆も故障で機能しなかった。ロッテはシーズン前からバレンタイン問題で戦闘不能。よって、昨年同様の戦力があれば自ずとAクラス入りできるのです」(スポーツ紙デスク)
大体、シーズン終盤まで昨年、最下位であったソフトバンクが優勝争いに絡んでいること自体、おかしな話なのだ。
普通に戦うことは、大変かもしれないが、それを指揮するのが監督の務め。今年の楽天は当たり前のことを当たり前にしただけ。あくまで“他人”のせいではまっただけ…関係者はそう思っている。