福岡ソフトバンクホークスに“主砲”が合流する。キューバ共和国に帰国していたアルフレド・デスパイネ外野手、ジュリスベル・グラシアル内野手が再来日した。球団によれば、7月20日に福岡入りしており、今後は日本野球機構(NPB)のガイドラインに沿って2週間の待機期間をいったん経ることになるという。
「新型コロナウイルスの影響で、デスパイネたちの今季中の合流は『ない』と見ていましたが」(球界関係者)
チーム合流は8月上旬となる。工藤公康監督も、「3月以降、会ってないので楽しみにしています」とコメントこそ出したが、ちょっとアッサリしすぎていないか? 他のチーム関係者も同様だ。
「故障者が続出していますが、千賀滉大が合流した後、上昇ムードが高まってきました。千賀の一軍復帰が第一ロケットなら、デスパイネたちの合流はその第二弾。柳田、バレンティン、デスパイネ、グラシアルの並ぶ打線は破壊力バツグン」(スポーツ紙記者)
ひょっとしたら、ソフトバンクは「デスパイネたちが7月中に再来日できる」との情報を入手していたのではないだろうか。
再来日直前の7月17日だった。工藤監督はリック・バンデンハークの二軍降格を決めた。前日(16日)のオリックス戦で3回途中4失点と大炎上してしまったからだが、球団は降格の理由として、
「背中に張りがあった」と故障を明かしている。
「バンデンハークが故障していたなんて、分かりませんでした。同日のピッチングは確かに『らしくないもの』でしたが、通常、主力選手が故障した場合、詳しいことを明かさないのが球界の慣例です。ライバル球団の手の内を明かすのも同然ですから」(プロ野球解説者)
無理をさせたくないとしても、主力投手をあえて二軍に落としてまで再調整させるということは、その後の戦力によほどの自信がなければできない話だ。
バンデンハークに代わって昇格してきたのは、3年目の椎野新投手。昨季36試合に登板した中継ぎタイプのピッチャーだ。先発ローテーションを託した投手を降格させて、中継ぎを昇格。工藤監督はデスパイネの再来日と、超・強力打線による攻撃的な野球をこの時点で描いていたのかもしれない。
「ソフトバンクが現在、一軍登録している外国人選手はモイネロだけ。来日10年目のバレンティンは日本人選手扱いで登録できるので、バンデンハークが帰って来た時、モイネロ、デスパイネ、グラシアル、バンデンハーク、バレンティンの5人を一軍ベンチに入れることできます」(前出・スポーツ紙記者)
6月19日の開幕戦前、ソフトバンク首脳陣は東京五輪出場の予選を戦うデスパイネたちについて、「今季はいないものとして…」と語っていた。3月に開幕し、新型コロナ禍がなければ本当にそうなっていただろうが、たとえプロアスリートであっても、再来日の手続きには時間も掛かる。6月の開幕戦前から球団は“デスパイネたちの円滑な再合流”をサポートしていたものと思われる。ペナントレース序盤戦に出遅れても動じなかったのは、彼らがシーズン中に合流するという確証も得ていたのだろう。工藤ホークスは超・強力打線で追い上げ態勢を整えつつある。(スポーツライター・飯山満)