シリーズ直前に前代未聞の首脳陣クビ…関係者は「この調子だと日本一奪還は無理」と冷笑する。ただでさえ、この時期にチーフ投手コーチの尾花高夫が横浜の来季監督に内定するなど、ストーブ情報が飛び交うありさま。まさに異常事態だ。選手及び球団関係者のシリーズに対するモチベーションは低く、とてもではないが「覇権争い」に参加しているチームとは思えない状況なのだ。
そんな中、電撃的な「伊原解任」。最も、伊原ヘッドコーチはチーム内でも孤立しており、原内閣にとっては“がん”であったことは間違いないが…。スポーツ紙デスクが語る。
「伊原は超のつくわがまま。“俺が、俺が”の常に前面に出る男で原辰徳監督をはじめコーチ陣、選手、フロント…と総スカンなのです。元々、今季限りでのクビはある程度、想定できていたのですが、伊原本人が自ら首をくくってしまった。それはCS第2ステージ中に問題となった中日・吉見一起の件です」
吉見は精力増強剤の静脈注射(別名・にんにく注射)を行ったとして「ドーピング」疑惑をかけられた投手。にんにく注射は五輪やマラソンの国際大会では「ドーピング」に認定されるもの。かつての中国・馬軍団、女子マラソンのラドクリフなど常用している選手が国際大会の出場を見送られている。
日本プロ野球では「おとがめなし」の結果で、吉見は堂々としていればいいのだが、伊原ヘッドの発言が大問題となっているのだ。
「吉見の『ドーピング疑惑』に伊原ヘッドが記者団に“のりピーと同じだろう”とこぼしたから、さあ大変。中日は怒り心頭で連盟に提訴も辞さず、という構えになっている。伊原の軽率な発言に球団が振り回されるのは、もうウンザリとばかりにコトが拡大する前に“処分”の方針を固めた」(前出・デスク)
いくらなんでも「覚せい剤取締法違反」の酒井法子被告と「にんにく注射」の吉見が同一線上だ、というのは、おかしいだろう。片や、検察が懲役1年6月を求刑、片や罰則なし…中日が「提訴も辞さず」は誰もが納得できる話だ。
確かにこの発言だけで「解任」問題に発展するに値するが、実は今回のクビに関して、人事の問題も大いに含んでいるようだ。
尾花なき後の投手コーチは「原監督とWBCで共闘した“戦友”山田久志が濃厚。それに合わせ、ヘッドもWBC人事を敢行。高代延博で内定している」と、事情通は断言する。
となると、伊原ヘッドと高代新ヘッドはコーチのポジションがかぶり、玉突き的に伊原が追い出される格好となるわけだ。
そればかりでない。伊原完全追い出しを目論む原監督は伊原の天敵をあえて巨人に招へいする作戦に出る動きを見せている。
スポーツ紙デスクは「原のWBC人事をかぎつけた(WBC組の)伊東勤が原に猛烈な“売り込み”をかけているらしい。伊東も阪神に売り込んだと思ったら、今度は巨人と節操がないですが、原としたら、伊原追い出しの材料としては格好な人物です。このままいけば、入閣は十分、考えられる」。
もはや、日本シリーズどころではない巨人の現状。もちろん、当の伊原ヘッドもシリーズどころではなく、親しい球団関係者にこう“取材”しているらしい。「原監督が後任ヘッドコーチを探しているってホント?」
こんな調子でシリーズは戦えるのか…。伊原ヘッドの“事件”と尾花コーチの横浜入り内定騒動によりチーム内はとんでもない火ダネを抱えることになった。シリーズ前にして「原巨人」が内部分裂の危機に直面している。