相手は山崎芳仁-伏見俊昭の福島ラインという強敵だが、渡部が先まくりを打てば山崎不発も十分に考えられる。
石丸寛之(岡山・76期)は最近調子を落としているがまくり脚は日本一といわれるほど。渡部マークは地区的にも取れるから、追い込みに回って逆転もあるだろう。また調子が一息の時には渡部を引いてジャン先行、北日本ラインに一泡吹かせる展開も想定できる。本来の力からいってもし石丸―渡部の2段駆けになればこれは強烈そのものだ。
さらにこのところFI戦回りで本来の自在味を生かしていない吉永好宏(広島・80期)は地元のGIIなら燃えるはずだ。先行、まくり、追い込み、マークとなんでも出来る器用さに、外でも粘れるしぶとさは要注意。久々のビッグだけに、練習十分で乗り込んで来るだろう。05年の玉野・西日本王座戦では(2)(1)(3)(8)と決勝に参加した実績もある。渡部-石丸-吉永でラインを組めば人気の山崎、伏見を抑えきることは可能だ。
最近は広島勢の弱体で地元とはいえ決して有利とはいえないが、吉永の持ち味は単騎での勝負であることを忘れてはいけない。
また前反祐一郎(広島・81期)も格からいえば吉永よりは上だし競りもまくり追い込みも出来る器用さは狙えるはずだ。
地元勢以外で狙ってみたいのは、永井清史(岐阜・88期)だ。北京五輪の銅メダルで暮れのグランプリ出場権も決まっているだけに、自分の持ち味のジャン先行を生かし切っている。共同通信社杯でもホームバックを取り浜口高彰を1着に持ち込んだ。
課題はゴール前の末の甘さだが、永井にとってはそんなことよりも、自分の持ち味を生かして後ろの中部追い込みをいかに引き出すかが課題で、GI、GIIの制覇は来年にかけているのではないか。
ともあれ、渡部・石丸にとっての強敵は永井のジャン駆け。そこにさばきでは定評のある浜口や山口幸二がつけば、ペースを落として先行して渡部や山崎らの先行ライバルをたたきつぶすことは簡単だ。
世界選、オリンピックでの練習成果が出ているいま、もしかしたら永井が大逃げを決めてしまうような場面も出てくるのではないかと期待しているのだが…。
ともあれ福島ラインは思い切って消したい。