えっ、アキバの街中でロッククライミング!?と思わず目をぱちくり。よく見ると、確かにホールドと呼ばれる足がかり用突起物が屋上まで続いているが、その始まりは2階の途中から。つまり、身長が3メートルぐらいないと手が届かず、登り始めることができない。
いったい誰が何のために設置したものなのか?
妙な胸騒ぎを感じつつ建物の正面に回ったところ、あっさり納得する結末を迎えた。
この建物は老舗の大手登山&スキー用品店「ニッピン秋葉原登山本店」(千代田区外神田3-11-11)だったのだ。同店は「ああ、アレですか。いまは使うことはできませんよ」と断りながら快く取材に応じてくれた。
それによると、北イタリア・チロル地方にある“登山靴一筋”のメーカー「スポルティバ」の製品が約20年前に世界的に大ヒットし、クライミングブームが巻き起こったときに設置したという。
「うちが約30年輸入し続けているメーカーなんです。壁面に突起物を付け登れるようにしてクライミング教室を開いたり、テレビ番組の企画でウッチャンナンチャンが挑んだこともあるんですよ」(同店)
登山靴は履いてみなけりゃ分からない、といわれる。同店はいまも地下にホールド付きのためし履き用の壁を持っている。しかし約10年前、ビル壁面のような垂直な壁を登るのはすたれ、手前に大きく反り返る壁を登るのが主流となったため開放を廃止したという。
「いまは単なるアートです。うちの商売が大きく傾いたら、また使えるようになるかもしれませんね(笑)」と同店。うまい冗談を言うものだが、山男の発想は豪快だ。
同店の営業時間は午前11時〜午後7時半(日祝は7時)まで。第2、3火曜定休。