9月8日に発売されたシングルCD『ごはんはおかず/U&I』は、某有名CDウィークリーランキングで、突如韓国からやってきた超大型女性ユニット“少女時代”を抑えて、アニメ劇中歌しては初のCDシングルランキング3位に輝くなど、その勢の凄さを見せつけた。原作の方は一足早く9月9日売りの『まんがタイムきらら 』で完結しており、既に掲載誌は品薄状態。古本ではプレミアが付き始めるなど、9月に入ってからアニメ、漫画、音楽など各業界で話題をさらっている本作であるが、いよいよ本格的な完結が近づいてきた。
10月27日には初のフルアルバムの発売。他にもアニメ本編のDVD、BD発売や原作単行本の発売を残しているとはいえ、アニメ、原作共に同時期に本編が終了とは、ファンとしては寂しいところだろう。そして、それ以上に今後深夜アニメに与える影響は計り知れない。
思えば『けいおん!!』は深夜アニメとしてかなり優良なコンテンツだった。女性キャラの作画や演出などで人気のある“京都アニメーション”をアニメ制作に抜擢し、キャラの可愛さを強みとしての、映像コンテンツやグッズなどの版権収入、さらに、軽音部という設定を活かしたキャラソン収入。『けいおん!!』の原作が分類される“ゆる系萌え四コマ”というジャンルは元々数年前から人気ではあったが、その中でも頭一つ抜いた収益が出せたのも、この軽音部であるという設定のおかげであろう。DVDやBDなどの収入のみに頼らなけでばならない深夜アニメとして、これは画期的といっていい。
深夜アニメバブルと言われて久しいが、実はここ数年は、思うような売上が出せず、地上波としての年間放送本数は減少傾向であった。徐々に閉塞傾向にある深夜アニメに新たな可能性を見出したのがこの作品であろう。しかし、この後に続けられるようなアニメは出るのだろうか…。ここまで成功してしまうと、他の作品を同じ軽音部設定で売ることはもう出来ないだろう。『エヴァンゲリオン』がヒットした後、似たようなアニメが数多く制作されても、結局エヴァを越えられなかったのと同じように…。(斎藤雅道)