ある女の子が、友達の耳にピアスの穴を開けていた。すると耳の穴から白い糸が出てきた。なんだろう? と思い引っ張ってみると、白い糸は切れてしまった。それと同時に、ピアスの穴を開けてもらっていた友達が「誰? 電気を消したの。何も見えないじゃない!」と叫んだ。しかし、電気など消えていない。彼女の目が突然見えなくなったのだ。実は白い糸の正体は視神経だったため、それが切れると同時に彼女は失明してしまったのだ。
この都市伝説を調査して明らかになった事実によると…。なんと! 耳の穴から白い糸が出てくることは実際にあるという。ただし、それは視神経ではない。筒状に隆起した皮膚である。もちろん引っ張ろうが、引きちぎろうが実害はない。では、なぜそれが失明といった事態と結びついたのか? 実は耳たぶには目のツボがあるのだが、その目のツボがある耳たぶに、針を刺し貫通させることからイメージが膨らみ、ピアスの都市伝説が生まれたようなのだ。
調査をしたノンフィクション作家氏によると、噂を初めて知り調査したのが1991〜1992年頃だという。 そこで、筆者がふと気付いたことがある。筆者がピアスを開けたのは1990年の2月だったが、すでに白い糸の噂は広まっていた。それでも皆、実際にはあり得ない話として、気にせずにピアスを開けていた。
しかし当時は、耳たぶの下の方に穴を開けるのが流行っていた。実は、先述の目のツボは、耳たぶのほぼ中央にあるという。もしかしたら、皆がピアスを耳たぶの下方に開けていたのは単なる流行ではなく、実は目のツボを外すことで、失明の危険を避けていたのかもしれない。すなわち、白い糸の都市伝説を信じていた人は、想像よりもずっと多かったのではないだろうか。
ちなみに、筆者は耳たぶに目のツボがあるという話はずっと知らなかったので、ピアスは目のツボを直撃している。しかしながら、白い糸はおろか、穴から何かが出てきた経験はない。
(七海かりん 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou