指摘された興行は8月31日に、東京・日本武道館で亀田ジムが主催した試合。この興行のメーンイベントでは、WBA世界バンタム級王者の長男・興毅が、挑戦者の同級8位=デビッド・デラモラ(メキシコ)を3-0の判定で破り、2度目の王座防衛に成功した。この興行をリングサイドで暴力団組員が観戦したとして、警視庁からJBCに報告されていたのだ。これで、亀田ジムは警視庁から、目を付けられた格好だ。
亀田ジム側はJBCに対し、「チケットは一般に売り出したもの。暴力団組員には売っていないので分からない」と反論し、暴力団との関与を否定した。同ジムの言い分が本当なら、同情すべき点もある。暴力団組員がチケットを一般のプレイガイドで購入したり、堅気の人から譲り受けた場合、ジム側としては、それを防ぐ手立てはないからだ。
そもそも、ボクシングに限らず、興行の世界は従来から、その筋の人とは切っても切れない関係にある。プロモーターがその筋の人とつながりがあるケースは多いし、主催者が大量にチケットをさばくため、暴力団関係者に割引価格で販売することは少なくない。興行を打つためには、その勢力とかかわらざるを得ない部分もあった。
しかし、社会の情勢は変わった。世は暴力団の排除へと動いている。ボクシング興行でも、「暴力団関係者の入場お断り」の看板を掲げることを、必須にする必要に迫られてきたのかもしれない。
(落合一郎)