原巨人が早くも来春キャンプに向けて動き始めた。キャンプ地・宮崎にウエイトトレーニング・ルームを増設するという。これまでは一、二軍の全選手がサンマリンスタジアム内のトレーニング室を使っていたが、「宮崎県総合運動公園」の敷地内に新たに2か所のトレーニングスペースを確保し、時間の効率化を図るそうだ。
確かに、去年まで「おや?」と思うような光景も見られた。一軍のメイン練習場であるサンマリンスタジアム内の通路を二軍選手がウロウロしていた。これを解消するための増設だが、懸念する声も聞かれた。ウエイトトレーニング・ルームは、ウラで「サボリ部屋」とも呼ばれているからだ。
「マジメにやっている選手もいますよ。ですが、リフティングを10回ずつ4セットやるとなったら、最初の10回と次の10回の間でお喋りをしたり…」(プロ野球解説者)
それだけではない。ウエイトトレーニングは“錯覚しやすい”のだ。
「短期間で筋肉が大きくなり、適度な疲労感も出るので、満足してしまうんです」(前出・同)
ウエイトトレーニングと言えば、金本知憲監督時代の阪神が思い出される。金本氏はウエイトトレーニングで強靱な肉体を作り上げた。キャンプでウエイトトレーニングの練習時間を増やし、若手をレベルアップさせようとしたが、失敗している。「合う、合わない」があり、阪神ナインの場合は後者だった。
「高校野球の世界でもウエイトトレーニングをやっています。私立校になると、専門ルームもあります。あくまでも練習の補助としてですが」(スポーツ紙記者)
巨人選手とウエイトトレーニングの“相性”について、関係者の一人がこう言う。
「シーズン中も、リリーフ投手陣は試合後に球場に残ってウエイトトレーニングをやっています。『軽いウエイトトレーニングをやると疲れが取れる』と言って、ルーティンにしている投手がけっこういます。野手でもルーティンにしている選手がいます」
ウエイトトレーニングに関する知識があれば大丈夫だろう。しかし、巨人がトレーニングルームを増設した理由は、順番待ちの渋滞を緩和するだけではなかった。2020年はオリンピックの関係で夏場に一か月ほど、ペナントレースが中断される。その影響で開幕戦が例年よりも一週間ほど前倒しになる。コンディションを早く仕上げるため、ウエイトトレーニングの練習量も増やすのだという。
ウエイトトレーニングに頼らず、キャンプインも前倒しすればいいのだが、それは野球協約でNGとなっているので、できないそうだ。対策を講じるのは良いことだが、新しいことをやれば失敗のリスクも伴う。
「ウエイトトレーニングの練習メニューは人それぞれ。100回やらなければ効果の出ない人もいれば、50回で効果が出る人もいます」(前出・プロ野球解説者)
選手各々がトレーニング知識を持たなければならないようだ。チームとしても、ウエイトトレーニングの専門家に詳しくレクチャーしてもらったほうがいい。でなければ、原監督は泣きを見ることになるだろう。(スポーツライター・飯山満)