この問題は当時明治大学4年の一場氏に対し、ドラフト自由枠での獲得を狙っていた巨人・阪神・横浜(現DeNA)の3球団が“交通費”、“食事代”、“栄養費”といった名目で多額の金銭を渡していたというもの。当時の報道によると、巨人は約200万円、阪神は約25万円、横浜は約60万円を一場氏に渡していたという。
この問題の発覚後、巨人・渡邉恒雄オーナー、阪神・久万俊二郎オーナー、横浜・砂原幸雄オーナーはいずれも辞任。また、当事者の一場氏も大学野球部を退部する事態に発展している。
一場氏は金銭を受け取ったことについて、当時は親から仕送りをもらっていたと前置きした上で、「親から仕送りをもらわなくてもいいようにという簡単な考えで受け取ってしまいました」と発言。続けて、「内心では『バレないだろう』と思ってました」、「(当時の球界では)これが当たり前なのかなという認識がありました」とも述べた。
問題が報じられた当時は、大学日本代表の一員として台湾に遠征していたという一場氏。巨人のスカウトから「一場くん、ごめん。(遠征から)帰ったら(球団)事務所に来てほしい」、「(金銭を渡したことが)報道に出てしまうかもしれない」という電話をもらったことで事の大きさを知ったという。
また、帰国から2日後に球団事務所に向かった際、一場氏は「(話し出してから)ものの1分ぐらいで、当時の代表の人に土下座された」と暴露。続けて、その球団代表から「すみません、(規定違反を犯したので)うちの球団では獲得することができません」と告げられたことも明かしていた。
この他にも、一場氏は問題発覚後に起きたこととして“接触した3球団を含め、日本のプロ球団には行けなくなった”、“報道陣によってあることないことを記事にされた”、“大学にもいられなくなった”といった内容も口にしていた。
今回の動画を受け、ネットでは「一場の例は氷山の一角で、他にも同じようなことは行われてたんだろうな」、「行きたい球団のスカウトに直接金渡されたらそりゃ断れないよなあ」、「お偉いさんがいきなり土下座するってすごい状況だな」といった反応が多数寄せられている。
一場氏は、裏金問題で騒がれた2004年、ドラフトで同年に創設された楽天に入団し2008年シーズンまでプレー。その後2009年3月にヤクルトへトレード移籍し、2012年のオフに現役を引退。現在は一般企業の営業マンとして働くかたわら、野球教室で子供たちに指導も行っていると伝えられている。
なお、今回の動画は一場氏が「これは絶対報道では言っていないことなんですけど、僕が…」と口にしたところで、「(続きは)後半で公開!!」というテロップが出て終了。次にアップされると思われる後半の動画では、当時明らかにされなかった新事実も語られるようだ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
一場靖弘氏の公式ユーチューブチャンネルより
https://www.youtube.com/channel/UCZaeDUOeLfZGeov_vTWCPQQ