大阪桐蔭高のエースとして活躍し、高校ナンバーワン左腕として期待された辻内氏は2005年、高校生ドラフト1位でオリックスとの抽選の末、巨人に入団。しかし怪我に悩まされ一軍公式戦に1度も出場することもなく、2013年に現役を引退した。
2014年に日本女子プロ野球リーグから招聘される形で埼玉アストライアに入団。コーチに就任し、指導者としてのキャリアをスタートさせた。ファームチームであるレイアのコーチを経て、2017年は埼玉アストライアのヘッドコーチとしてチームの女王奪還に貢献。今シーズンから監督に就任していた。
高校時代はバッティングにも長けていたこともあり、女子プロ野球ナンバーワン人気の加藤優ら、野手に対しても的確なアドバイスを送った。ファンやマスコミへの対応が良い人格者としても知られ、元監督の故・片平晋作氏の魂を受け継いでいた。
辻内氏は「今シーズン限りで監督を退任する事を決意いたしました。 女王連覇を目指したシーズンでしたが、ファンの皆様のご期待に添えることが出来ず、悔しく、また申し訳ない気持ちでいっぱいです。2014年から5年間、女子プロ野球選手の指導に携わらせていただけたのは、私の人生の中でも貴重な経験であり、光栄なことでした」と回顧した。
さらに「これからは、“一ファン”として、皆様と一緒に女子プロ野球の応援をしていければと思います。埼玉アストライアは今年、3位(最下位)と悔しい結果に終わってしまいましたが、来年こそ、選手たちが一丸となって女王奪還してくれると思います。これからも埼玉アストライア、そして日本女子プロ野球リーグをよろしくお願いいたします。5年間本当にありがとうございました」とコメントしている。
関係者の話によるとコメントにもあるように、辻内氏はアストライアの監督だけではなく、女子プロ野球からも離れることになるという。ファンとの「パイプ役」を担ってきた辻内氏の退団は、女子プロ野球にとってはダメージが深い。それでも辻内氏が今後NPBのコーチを務めるようなことがあれば、女子プロ野球の指導者から初の転身になる。今後は辻内氏が指導者としてNPBに復帰することを期待したい。
辻内氏は22日にファンイベント『埼玉アストライアありがとうPARTY2018』(ラフレさいたま)で最後のあいさつを行い、5年間の女子プロ野球界での生活にピリオドを打つ。
取材・文 / どら増田
写真 / ©︎埼玉アストライア