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コンピューターゲームの20世紀 第6回…『北斗の拳』

<ファミコン版は3からあらぬ方向へ>
 話題の新作『北斗無双』(コーエー)で発売されたので、今回はキャラゲーについて考察したい。北斗初のコンピューターゲームは、PC88等のパソコンで発売された『北斗の拳 バイオレンス劇画アドベンチャー』(エニックス)というアドベンチャーゲーム。次いでセガ・マークIII版『北斗の拳』(セガ)が登場。それから約一か月後に、今回写真を掲載したファミコン版『北斗の拳』(東映動画)が発売された。
 ジャンルはいずれもアクション。当時は比較記事なども掲載されたものだが、マークIII版のほうが画面は綺麗だし、ゲーム自体のデキも完全に上。しかし、売り上げは150万本の大ヒットを記録したファミコン版に軍配が上がる。ハード普及率を考えれば当然だが。
 当時、人気漫画(アニメ)のファミコン化というのはそれだけでミリオンが狙えたものだ。インターネットもない時代。購入者の生の声を聞く機会は乏しく、ちょっと調べてやっぱり購入を控えよう…なんていうわけにはいかなかったのである。
 とはいえ、筆者はクソゲーと呼ばれることも多いこのファミコン版をいたく気に入っていた。当時はこのような子供だましのゲーム(今にして思えばだが)が普通の時代であり、また自分が子供だったことも手伝って、ゲームのデキなど大して気にならなかったのである。そんなことより自分がケンシロウとなって敵をボコボコにやっつける快感がたまらず、ボタンを押すたびに「ほあたぁ!」とか奇声を上げながら、それはもう必死にプレイしたものだ。さらにボス戦では条件を満たすことで北斗神拳奥義を繰り出すことも可能。グラフィックはショボいが、ブラウン管に映し出されていたのはたしかに北斗の世界だった。
 ところが、3になって突然RPGになってしまう。幸い原作ストーリーをある程度は再現していたため気力を振り絞って何とかクリアしたものの、4は原作完全無視の世界設定。主人公はケンシロウですらなく、最後の最後にチラっと顔を見せる程度。さすがにこれには怒り心頭で「東映動画なんてゴミメーカーのゲームは二度と買わねぇ」と誓ったものの、そこは原作マニアの悲しき習性。結局はハードがSFCに移ってからも買い続け、ついには一つも満足するソフトに出会えなかったのである。

<好きな作品がゲーム化されるのは嬉しいものの…>
 映画・音楽関連会社(特にキャラゲー)のゲームは地雷の危険が非常に高い。これはレトロゲー愛好家の間では常識だが、筆者はそれを身をもって体験した。「出せば売れる。売れればそれでいい」というのはまさしくバブルそのものである。今はキャラゲーもマシになったし、正確な情報が飛び交うのも早いから地雷を踏む機会は少なくなったが。
 さて、最後に噂の『北斗無双』に少々触れておきたい。かつての悲しき習性で、ロクに調べもせず発売日に無言でレジに並んだのだが、北斗としても無双としても微妙なデキに正直戸惑っている段階。つまらないとは思わないし、プレイ時間もまだ少ないから今後はもっと楽しくなることを期待しているのだが、ただ一つ確かなことがある。北斗無双には色々な部分で“原作愛が感じられない”のだ。
 愛ゆえに原作マニアは苦しまねばならぬ。愛ゆえにこれからも北斗ゲーに騙されていくことだろう。もし無双2を出す気があるのなら、せめて北斗なのか無双なのかはハッキリさせてほしい。どうも方向性が定まっていないように感じてしまう。
 ちなみに北斗ゲーで一番完成度が高いのはPSで発売された『北斗の拳 世紀末救世主伝説』(バンダイ)。開発者はよほど北斗が好きなのだろうなと、プレイ中はニヤニヤが止まらなかった。キャラゲーの命はやはり原作への“愛”なのである。(内田@ゲイム脳)

(C)BRONSON・HARATETUO/SHUEISHA・FUJI TV・TOEI ANIMATION

DATA
発売日…1986年8月10日
メーカー…東映動画
ジャンル…ACT
ハード…ファミコン

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