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書評「中学んとき」久保寺健彦著、角川書店

 抑えられない性欲とスケベな妄想で、女子の反応にいちいち鼻血を出してしまう甘酸っぱい初恋。そして、いじめや家出。いまどきの中学生男子の内面を痛々しいほどに描いた連作青春小説。

 《「そうじゃなくて、なんて言うのかなあ。…小さいころってもっと、毎日楽しくなかった? 次の日が待ち遠しくて、寝るのもじれったい、みたいな。けどね、そういうことって、これからはもうない気がするの」本間の言いたいことがわかる気がした。これからもずっと、こまかな差異をあげつらわれ、他人との比較から逃れられないんじゃないか、という不安…》

 おバカな中学生の生活の中にリアルな内面がチラリ。ドライに見えて、いまの中学生も結構大変なんだと知らされる。(税別1500円)

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