ナゼか密室事件の相談ばかりが舞い込む“密室専門”天然系女性刑事弁護士の青砥純子と、本職は泥棒だとしか思えないほどのテクニックを持つ防犯ショップ店長の榎本径。2人の主人公のちょっと変な掛け合いは、万人受けする面白さ。
表題作のほか、ある生き物を使った殺人事件が起こる「黒い牙」、棋士がホテルの密室で殺される「盤端の迷宮」、極度な犬嫌いの容疑者がカギを握る「犬のみぞ知る」の4編。重厚感こそないが、誰でも気軽に楽しめる作品に仕上がっている。
なお、寡作で知られる著者だが今年は本書ではやくも3冊目。今後も著者のアッといわせる新作に期待したい。(税別1500円)