同点で迎えた7回裏、先頭打者の内川はこの回から登板の相手投手・吉田一将から左翼席に第2号ソロ本塁打。7日以来となるアーチはチームの勝利、そして前の回から登板していたルーキー・泉圭輔のプロ初白星を呼び込む値千金の一発となった。
試合前の時点で「打率.229・1本塁打・3打点・19安打」と、本調子とは程遠い姿が続いている内川。「なかなか数字が出ないなかで謝ってばかりだったので、やっと一つチームに貢献できた」と、まずは安どの言葉を口にした。
勝負を決めた一打については「打席に入る前に奇跡でも起こってくれないかなと思っていました。打った瞬間に『本当に奇跡が起こった』と思って嬉しかったです」と回顧。また、共にお立ち台に立った泉に関しては、「泉にとって僕が一緒に(お立ち台に)立つのが良い記念になるかどうかは知りませんけど、彼の歴史に残る日に一緒にいられて嬉しく思います」と語った。
一方、インタビュー中には「若い選手の活躍を『頼もしいな』と思う反面、自分がどんどん弱くなっているような気がして」とらしくない言葉も。目を潤ませながら心境を語る元キャプテンに、球場のファンは激励の大声援を送っていた。
今回のインタビューを受け、ネット上のファンからは「今日のインタビューはウルッときた、内川の覚悟を感じた」、「こんなに辛そうなヒーローインタビューは見たことない」、「感極まってる内川見てるとこっちも涙が…」、「相当苦しかったんだろうな、今日は打ってくれて本当にありがとう」といった声が殺到。不振と対峙する内川の言葉は、多くのファンの感動を呼んだようだ。
主砲・柳田悠岐をはじめ、野手陣に離脱者が続出している現在のソフトバンク。球界屈指の右打者の快音を、チームもファンもまだまだ求めている。
文 / 柴田雅人