某月某日、大阪府のとあるマンションから1歳9カ月になる赤ん坊と大量の家具が落ちてきた。赤ん坊は頭を強く打って即死。警察がマンションの12階へ向かうと、そこには家具などが散乱したリビングに少女がひとり茫然と立っていたという。いったいこのマンションの一室で何が起こったのだろうか。
赤ん坊を投げたのは確かにこの少女だった。しかし、この少女はこの家の親族ではなく他人であった。
赤ちゃんが投げ落とされた数分前に話を戻そう。この日、主婦のAさん(37歳)は赤ん坊の世話をするため自宅にいた。すると猛烈な勢いでチャイムが何度も鳴り、驚いたAさんがドアを開けると高校生くらいの少女がリビングへと駆け込んできた。
「ちょっと!あなた誰ですか!?」「Bちゃんはどこだ!Bちゃんを出せ!」
少女のいうBちゃんとはこの家の長女である。
「Bは今、学校へ行っている」とAさんが話すと少女は荒れ狂い、家具を投げ付けるなど大暴れし始めたという。「赤ん坊がいるのでやめて」とAさんは止めたが、少女の暴走は止まらず、ベランダから洗濯物やおもちゃを次々に投げ捨てた。そして、ついに少女は赤ん坊までも外に投げ捨ててしまったのだ。
驚いたAさんはすぐにマンションの12階から駆け下りたが、既に赤ん坊は死んでいた。
そして、しばらくして警察が到着。少女は確保された。取り調べの結果、この少女は近所に住む無職で、Aさんの長女Bさんと一緒の中学校に通っていたかつての友人だと分かった。
中学3年の頃、少女とBはささいなことから喧嘩をし絶交。以来、少女は精神的に弱ってしまい高校には通えていなかったという。
喧嘩から2年後、突然Bに会いたくなった少女は家を急襲。不在だったことに腹を立て、家具や赤ん坊を放り投げるという凶行に出てしまったのだという。
その後、落ち着きを取り戻した少女は、罪のないBの妹を殺してしまった事実を知り、泣き叫んでいたという。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)