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侍ジャパンのアンダースロー・牧田を巡る古巣西武の人間模様

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石井一久氏

 アンダースロー・牧田和久(34)の去就に“さまざまな事情”が絡んできた。

 サンティエゴ・パドレスの牧田和久投手が「ロースター40人枠」から外された。その一報が飛び込むなり、古巣・埼玉西武の渡辺久信ゼネラルマネージャー(53/以下=GM)が「(牧田が)NPB復帰を望むなら、もちろん検討する」と言い切った。迅速な対応と言っていい。しかし、多くのメディアは「石井一久GM(45)のいる楽天に行くんじゃないか?」と見ていた。石井GMは埼玉西武で現役を終えた。ノホホンとした風貌からは想像がつかないが、親分肌で、彼を慕う西武の後輩は少なくなかったそうだ。浅村栄斗(28)がFA移籍したのも、その流れである。

 「牧田はメジャーリーグ挑戦について、石井GMに相談していました。アンダースローに対する米球界の評価、配球の違い、生活のことなど。最終的に牧田の背中を押したのは石井GMです」(球界関係者)

 渡辺GMと石井GMの対決。それだけではない。

 牧田のロースター漏れが伝えられたのは、日本時間・6月19日。渡辺GMが前向きな発言を出したのはその翌日だ。石井GMは牧田に関するコメントを発表していない(25日時点)。これには“西武球団が抱える別の案件”が重なっていた。先発、リリーフのどちらもこなせる好右腕・十亀剣(31)が、6月14日に国内FAを取得した。

 2015年・脇谷亮太、16年・岸孝之、17年・野上亮磨、18年・浅村&炭谷銀仁朗と続く主力選手の退団劇に歯止めを掛けなければ、「西武という球団は、そんなに居心地が悪いのか?」と勘繰られてしまう。
「十亀は『オフになってから(去就を)考える』と言っています。シーズン途中にFA権を取得した選手はみんなそう言いますが」(スポーツ紙記者)

 つまり、西武は牧田に“救いの手”を差し伸べることで、十亀にも「ウチは選手思いの球団」と訴えたかったのだ。

 「十亀は渡辺GMが指揮官だった時代に入団してきた投手です。渡辺GMは浅村の退団を本当に残念がっていたし、教え子たちを今もカワイイと思っています」(前出・関係者)

 パ・リーグ出身のプロ野球解説者がこう続ける。

 「渡辺GMは浅村を流出させた後、楽天からは人的補償を求めず、炭谷をFA補強した巨人からの選手補強を考えました。その巨人から引き抜いた内海哲也は、故障でいまだ登板ナシです。現場を預かる辻発彦監督(60)の胸中は複雑です」

 牧田に通達されたロースター漏れだが、平たく言えば、メジャーリーガーではなくなったことを意味する。メジャーリーガーで契約して、マイナーで調整している選手もいる。そのメジャー契約できる選手数にも上限があるため、パドレスはその人数枠から牧田を外して、3Aで奮闘していた左投手のローガン・アレンを加えた。そのアレンについて補足すると、昇格した19日にいきなり先発起用され、勝利投手にもなっている。

 今後、牧田に対して、他のメジャー球団が獲得の意思を示さなかった場合、牧田本人に今後の選択権が生じる。マイナー契約を受け入れるか、退団して自分の力で移籍先を探すか…。先発、中継ぎ、クローザーのどこでも投げられる牧田に興味を示す球団は西武、楽天以外にもあるはずだ。

 「牧田について、日本では『ロースターから外された』と報じられましたが、18年オフにメジャー契約を打ち切られており、今春のキャンプは招待選手扱い(テスト入団)でした。2Aでシーズンを迎え、日本時間の6月18日にメジャー昇格を果たし、ここでロースター入りしたんです。そして、翌日にまた外されました。今の牧田にメジャーに挑戦した時と同じ力があるのかどうか、見極める必要もあると思います」(特派記者)

 石井GMがまだコメントを出していないのはそのせいかもしれない。同GMの狙う本命は十亀か? 渡辺GMの前向きな発言に牧田は有り難いと思っているだろう。十亀はどう受け止めたのか。辻監督は十亀、牧田のことについて聞かれても、ダンマリを決め込んでいるそうだ。
(スポーツライター・飯山満)

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