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球界因縁のライバル(23) 原VS落合(下)

 昨年のオールスター戦のセ・リーグベンチで、コーチ役の宿敵、中日・落合博満監督に対し、同じコーチ役の阪神・岡田彰布監督と連携して、完全無視策を取った巨人・原辰徳監督だが、空振りに終わっている。原監督と岡田コーチがなにかと相談しながらゲームを進めている中で、落合コーチはヤクルト・宮本慎也と親しげに話し込んでいたからだ。宮本といえば、当時は労組・選手会の会長だ。

 原監督=岡田監督のコンビにとっては、これ以上頭に血が上るオレ流の報復はないだろう。「落合憎し」という2人の共通した原点は、前回でも書いたように、共に労組・選手会長としてFA制度導入に尽力したのに、勝手に脱会した落合監督に第1号として権利行使されたことへの怒りだ。「労組・選手会を脱会しながら、権利だけは行使する。どういう神経をしているのだ」という理にかなった、ある意味では当然の拒否反応だろう。
 それなのに、よりによって当時の労組・選手会の会長の宮本とベンチ内で話し合っているのだから、原監督、岡田監督の胸中は穏やかではなかっただろう。いったい、何を話し込んでいるのか。試合どころではなかったのではないか。これが落合流のしっぺ返しだ。相手が一番嫌がることをする。そして、計り知れないダメージを与える。

 昨年の岡田監督率いる阪神のように、巨人が独走すればするほど、その反動も大きくなる。岡田監督が自ら電撃辞任するような非常事態になったのも、一時期巨人に13ゲームもの大差をつけたからだ。「夏には優勝が決まるのでは」といわれたペナントレースをひっくり返されたからこそ、プライドの高い岡田監督は、球団側の続投要請を蹴って辞任するしかなかったのだ。
 今季、このまま巨人が大独走しても気を許せない。落合監督が2位狙いに方向転換して、一昨年のウルトラC再現を試みようとしたら、原監督にとってこれ以上恐ろしい展開はないだろう。実際に、「追いかけるのはウチしかないだろうという落合発言は不気味だが、ダメだと判断したら方向転換は早いだろう。クライマックス・シリーズでリーグ優勝の巨人を叩いて日本一の方が与えるダメージは大きいだろう」と見る球界OBもいる。
 昨年からリーグ優勝チームには1勝のアドバンテージが与えられており、昨年のクライマックス・シリーズ第2ステージでは、巨人が中日に2勝1敗で日本シリーズ進出を果たしている。今年も原巨人VS落合中日の3度目のクライマックス・シリーズ対決になれば、1勝1敗の原監督VS落合監督の勝負にはひとまず決着が付く。
 原監督が勝てば、今季から新たな3年契約をしたばかりの落合監督の周辺はにわかにあわただしくなるだろう。落合体制で冷や飯を食わされている中日OBたちが落合降ろしに動き出すのは間違いないからだ。従来と違って後任難というネックがない。打撃コーチ兼任、プロ入り22シーズンで、今季限りで現役引退する立浪和義がいる。「代打・立浪」コールでナゴヤドームが一番沸く、ファンの支持率ナンバーワンの生え抜きスター選手だけに、OBたちにも異論はないだろう。
 落合監督が勝ったら、同じく今季から3年契約の原監督の立場が安泰でなくなる。進退伺いの一つも必要になるだろう。さて、興味津々の軍配はどちらに?

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