かつては、日本格闘技界を席巻したサップだが、近年ではもはや、その株は急落。知名度はいまだ抜群でも、試合への期待はほとんどなくなってしまった。昨年大みそかの「Dynamite!!」では、大相撲元若麒麟の鈴川真一と対戦予定だったが、試合直前に敵前逃亡。今年に入って、準レギュラーとして参戦しているIGFの2・5福岡国際センターで因縁の鈴川と清算マッチを行ったが、わずか117秒で秒殺負け。4・28東京ドームシティホールでも無名の角谷正義とキックボクシングルールで対戦し、これまた79秒で戦意喪失によるセコンドのタオル投入でTKO負け。相次ぐふがいない試合に、過去の栄光は地に堕ちてしまった。
7月24日にはインディー団体のDDT・両国国技館大会に出場し、ゲイキャラの男色ディーノとコミックマッチを行ったが、この試合でも敗れ去ってしまった。格闘技でもプロレスでも、さっぱり気迫が感じられないファイトぶりには、もう“お役御免”の印象はぬぐえなかった。
しかし、今回組まれたサップ対自演乙には少なからず、食指を動かした向きも多いだろう。公称で両者の体格はサップが身長2メートル、体重145キロ、自演乙が身長176センチ、体重87キロ(プロレス参戦時)。体格差は実に身長で24センチ差、体重で58キロ差。まさしく、大人と子どもの対戦だ。
自演乙はK-1中量級での厳しい体重制限のなかでファイトしてきたが、5月のプロレスデビュー以降は、ヘビー級戦士とも闘ってきた。ただし、これだけの体格差がある選手との激突はなかなかなく、相手がなにかと話題性が高いサップとなれば、おのずと興味は沸いてくる。
K-1ではまずあり得なかった中量級対スーパーヘビー級の対決に、自演乙は「どこかでぶん殴りたい。自分らしく、どんどん攻めて勝ちにいきたい」と必勝を誓った。
(落合一郎)