五反田駅のまわりは最近キレイになって、いっぱい建物が建ってしまい、もともとわかりにくい駅前がさらに分かりにくくなっている。バレエを見に「ゆうぽうと」ぐらいにしか行った事がなかった記者は、基本的にこの駅が嫌いだ。
五反田東急のかどを曲がり、まっすぐ進むと、巨大な高層マンション群が現れる。おなじみの○○不動産や○○地所が、スキあらばと無個性なマンションを建ててしまい、東京の都市部の風景をラクガキするかのように変えていく。目白を歩いた時も驚いたけど、五反田はもっとすごいことになっている。品川区もよく建設を許したものだ。
で、こんなところにあるのだからさぞ立派な劇場かと思いきや、床が傾いていそうな古い町工場みたいだった。みたいというか、隣からはギギギガガガと電動工具の音がして、何か造っている。入り口にある女の子らしい即席カフェでお茶していると舞台が始まってしまった。
女性ばっかりの劇団『むっちりみえっぱり』に、男が何人か入ってちょっと面白い演劇をいくつかやった。一歩まちがうとコントみたいなんだけど、肩がこらない感じで楽しい劇だ。それにしても、天井はいろいろな配管やらがむき出しのボロ劇場で演劇を見るていると不思議な気分だ。ここで大地震にあったら、私はこの知らない観客たちとともに瓦礫の下に埋まるのだろう…。
2時間ほどの楽しい時間はあっという間に過ぎ、劇団『むっちりみえっぱり』の「ムートンにのって」という公演が終わった。「あの細長い女優さん、今度いつ出るんだろう、けっこう好きなんだけど」とか考えながら、ボロ劇場を後にすると、高層マンションの前で「どうぞ、中を見ていって下さい」と、ガードマン風のおじさんに、立派なチラシを渡された。おじさんは、ボロ劇場から出てきた若者たちとは一風変った記者を、マンション見学に来た上流階級?婦人と間違えてくれたのだ。実際、2000円の演劇を見て満足しているビンボーなアラフォーの負け犬女を、一戸4800万円以上のマンションを買いに来た上流階級婦人と間違えるなんて、おじさんもテキトーだ。
(2月17日(水)〜21日(日)まで、アトリエ・ヘリコプターではいわき市の高校生の演劇をやるそうです。)
<コダイユキエ>イケメン好きの40歳独身女性記者
イラスト:むっちりみえっぱりの「ムートンにのって」の一場面