まず、セミファイナルですごい試合を見せられることになる。3試合を残して6戦全勝のIWGPヘビー級王者のケニー・オメガと、2勝4敗で決勝進出への道が途絶えた石井智宏の試合は、初戦のケニー対内藤哲也に匹敵するか、それを上回る超激戦となった。試合は序盤から両者が意地を張り合い、ただでさえ暑い会場の温度を上げていく。15分すぎからは消耗戦に。試合終盤、石井は気合いを入れると垂直落下式ブレーンバスターの体勢に入るも、踏ん張ったケニーが垂直落下式ブレーンバスターを決める。しかしカウントは1!起き上がった石井はカウンターのラリアット、そしてヘッドバットからの延髄斬りをヒット。最後は垂直落下式ブレーンバスターを決めて3カウントを奪取した。
ケニーは6勝1敗に、石井は3勝4敗となったが、NEVER無差別級王者の後藤洋央紀に続いて、IWGPヘビー級王者のケニーに勝ったのは今後につながるだろう。試合後、石井は「人生山あり谷ありだ。必ず障害があるんだよ。オメェにとっての障害、この俺だよ。今日だけじゃねぇぞ。これからもだ」と暗にタイトルへの挑戦表明とも受け取れるコメントを残している。一方のケニーは口から血を流しながら「あいつに(全勝優勝の)夢を打ち砕かれてしまった」とショックを隠せない様子。残りは、8.8横浜文化体育館大会での矢野通戦と、8.11日本武道館大会の飯伏幸太戦が待っている。
セミファイナルの熱気を引き継ぎ、メインイベントでは、5勝1敗でケニーを追う内藤哲也と、4勝2敗の飯伏幸太が対戦。同い年の両者の対戦成績はここまで2勝2敗。内藤が現在のトランキーロスタイルになってからは、飯伏の方が分が悪いイメージがある。
試合はじっくりとした攻防から始まったが、お互い徐々にスイッチが入り、ハイレベルな技の応酬となった。もちろん会場は大盛り上がりだ。ケニー戦でも感じたが、内藤はこのタイプの選手とは合う。内藤も飯伏も、お互いに高度な技を次々と切り返してみせた。内藤がデスティーノを決めるのか?飯伏がカミゴェを決めるのか?固唾を飲んで見守る観客たち。最後は内藤が旋回式のデスティーノを決めて、さらに正調デスティーノの体勢に入ったところを、飯伏が逆に内藤を空中で捕獲。そのまま垂直にリングに叩きつけ、ダッシュからヒザを一撃!これでグロッキー状態になった内藤に最後はカミゴェを決めて、飯伏が勝利を収めた。
飯伏はリング上でマイクを持つと、大阪のファンに優勝して戻ってくると約束。インタビューブースでは「内藤哲也に勝ったことが一番うれしいですね」と喜んだ。一方、「自力優勝はなくなったから2敗する余裕はない」と語っていた内藤はダメージからかノーコメントだった。
Bブロックは、8.8横浜大会、8.11武道館大会と各選手あと2試合残した状況で、自力優勝の可能性があるのは、6勝1敗のケニーと、最終戦にケニーとの直接対決を残す5勝2敗の飯伏の2人。これを5勝2敗の内藤、4勝3敗のSANADA、ザック・セイバーJr.が追う展開となった。8.8横浜大会ではケニー対矢野通、飯伏対タマ・トンガ、内藤対SANADA、後藤対ザック、ジュース・ロビンソン対石井がラインナップされている。内藤対SANADAのロスインゴ同門対決がメインで行われることが発表された。この2人はSANADAが全日本プロレスで真田聖也として活動していた時代から因縁があっただけに、どんな試合になるのか楽しみだ。
天王山の大阪決戦を終えて、Bブロックも決勝進出候補者が絞られてきた。
取材・文・写真 / どら増田