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新日本G1、Bブロック飯伏の連勝を止めた“日大レスリング部出身”矢野の悪質タックル!

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矢野通

 新日本プロレス真夏の最強決定戦『G1クライマックス28』は、序盤の7大会を終え、Bブロックは各選手が3試合を消化した。IWGPヘビー級王者ケニー・オメガが唯一の3連勝で単独トップに立つ。石井智宏、飯伏幸太、内藤哲也、SANADAが2勝1敗で続き、NEVER無差別級王者の後藤洋央紀、矢野通、タマ・トンガ、ザック・セイバーJr.が1勝2敗。IWGP USヘビー級王者のジュース・ロビンソンはまさかの3連敗で、残り試合は一つも落とせない状況だ。

 首位を走るケニーは、昨年、一昨年のG1決勝で対戦した内藤、後藤を相手にそれぞれ充実した内容で勝利。7.21後楽園大会で行われた3戦目は、タマ・トンガが相手だった。

 タマはアメリカ・サンフランシスコ大会で再び一つになりかけていたバレットクラブから造反。弟のタンガ・ロア、父のキング・ハクとともに、オリジナルメンバーの魂を持つ「バレットクラブOG」を結成したのだ。バッドラック・ファレも合流し、タマはBブロックで、ファレはAブロックで、それぞれ暴れている。2人は勝負度外視で存在感をアピールしようと反則負けの山を築く。ケニーは残るメンバーとバレットクラブELITEを率いることになったが「バレットクラブのことをハッキリさせようじゃないか」とタマ戦をバレットクラブの「清算試合」と位置づけていた。

 しかし、タマにそんな気持ちはさらさらない。というより、ケニーよりも切り替えができているのだろう。この日もロア、ファレを介入させるなど反則三昧で試合をぶち壊し、反則負けを喫した。試合後もケニーへの攻撃をやめない3人に対して、ハングマン・ペイジ、チェーズ・オーエンズ、そして飯伏が救出に入り、OG勢を蹴散らした。

 試合後、タマは「俺たちはこれで元に戻った。俺たちこそがバレットクラブだ。俺にはこの問題を正す責任があった」と改めてケニーらと決別すると宣言。ケニーも「俺はここにいるボーイズを連れて、俺のユニットを大事にしていく」と気持ちを整理したようだ。

 矢野はリングアナに「日大レスリング部出身」とわざわざ言わせておきながら、最初の2試合は「クリーンファイト」に徹し、日大のイメージアップ貢献に向けて、ラフファイトを封印していた(というより、させてもらえなかった)が、結局2連敗スタートとなった。初戦では石井に急所蹴りを食らい、敗れるなど本末転倒な展開が続いていた。

 しかし、3戦目は違った。「勝たなきゃ意味がない!勝ちしか意味がないんだよ!相手をぶっ壊してでもな、勝たなきゃ意味ねーんだよ!俺はそうやって教わったんだ、バカヤロー!」と戦前に本音をチラつかせながら臨んだ相手は2連勝中の飯伏幸太だった。この日の矢野は試合中、観客に「やってられねーんだよ」と悪態をつくなど、普段の矢野に戻っていた。最後は飯伏の攻撃をくぐり抜けた矢野が急所を殴り、飯伏が無防備になると、なんと矢野は背後から“悪質タックル”を炸裂させ、ひるんだ飯伏を丸め込んで3カウントを奪取。飯伏の連勝を止めるとともに、念願の公式戦初勝利をゲットしている。

 試合後、インタビューブースに現れた矢野は「俺は、アマチュアレスリング、及び、日大精神を忘れてないはずだ。忘れてないんだ! 忘れてないんだ!」と叫んだ。2戦目までは保身に走っていたが、今後も悪質タックルを使う可能性は十分考えられる。敗れた飯伏は「矢野さんの罠にハマりましたね。あれはタックルだったんですか?背後からのタックル、ありなんですか?」と報道陣に逆質問。「プロレスならアリ」と伝えられると「じゃあ、完敗ですね。矢野さんのスタイル的に完勝ですね。またやります。リベンジ、リベンジ」と股間を押さえながら控室に入っていった。

 その他の試合では、SANADAが真田聖也名義の時代に得意としていた回転足折り固めをザックに決めて2連勝。内藤は、パートナー不在時に“組まされていた”ジュースを相手に完勝。後藤と石井のCHAOS同門対決は、大激戦の末、垂直落下式ブレーンバスターで石井が勝利した。試合後は2人とも話せる状態ではなく、ノーコメントで控室に向かった。

 BブロックはAブロックに比べると今後の展開は予想がつかない。この後は、7.26新潟、7.28愛知、8.1鹿児島、8.4大阪と続く。中盤戦で誰かが突き抜けるのか?猛暑の中、序盤から激戦が続いているだけに、選手のコンディションも心配されるが、地方のファンにもG1の熱波を届けてもらいたい。

取材・文 / どら増田
写真 / 舩橋諄

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