3月23日、広島は福岡ソフトバンクホークスとのオープン戦を行ったが、試合前、ちょっとしたハプニングに見舞われた。同日の先発登板が予定されていたクリス・ジョンソン(34)を外し、九里亜蓮(27)を緊急登板させたのだ。故障が原因だという。球団による公式発表はナシ。しかし、一部からは「調整が必要な箇所が出てきた」の声も伝わってきた。
回りくどい言い方だが、故障で投げられなくなったというわけだ。
「広島は開幕戦で巨人とぶつかります。ジョンソンは第2戦での先発が予想されていましたが、ペナントレース本番を目前にしての登板回避ですから、序盤戦は先発ローテーションから外れる可能性もあると見るべきでしょう」(スポーツ紙記者)
広島に弱点があるとすれば、先発投手陣だろう。4番手以降が少しもの足りないのだ。
昨季、最多勝と最高勝率のタイトルを獲得した大瀬良大地、ジョンソン、野村祐輔。そして、緒方孝市監督(50)は3年目の左腕・床田寛樹のローテーション入りも示唆している。先発ローテーションは6人で回すのが一般的だ。「残り2席」は、岡田明丈、九里、薮田和樹、アドゥワ誠らが争う図式だ。床田は未知数、岡田らも昨年は2ケタ勝利を挙げていない。来日5年目、過去4年で46勝を挙げたジョンソンが外れるとなると、広島にとっては大きな痛手となる。
しかし、こんな声も聞かれた。
「新加入の外国人投手がブキミだよ。レグナルト、ローレンスの2人は十分に戦力になる。昨季、中継ぎで活躍したフランスアも健在。一軍登録できる外国人選手は4人まで。ジョンソンがしばらく出てこないとしても、レグナルト、ローレンスの2人は情報が少ない分、ジョンソンよりも攻略が難しい」(ライバル球団スタッフ)
レグナルトは左投手で、コントロールも良い。リリーフタイプと伝えられていたが、ニューヨーク・メッツ傘下のマイナーでは先発の経験もある。ローレンスは昨季までシアトル・マリナーズに在籍していた。変化球主体の右腕だが、「左バッターに強い投手」だという。左バッターの膝元に投じるチェンジアップに定評がある。どれくらいスゴイかと言うと、その変化の大きさに、あの大谷翔平が1本もヒットが打てなかったほどだ。
レグナルト、ローレンスの2人がジョンソン復帰までの間、先発ローテーション入りしてくる可能性も高い。
「広島は戦力の重複を嫌います。これまでも4人以上の外国人選手を抱えていた年がありましたが、一軍登録の可能性が低い外国人選手に、ここまでレベルの高い選手を置くのは初めて」(プロ野球解説者)
緒方監督の4連覇にかける意気込みなのだろう。
今年の広島は外国人投手の一軍登録を巧みに入れ換えながら、戦っていくのではないだろうか。ジョンソンの故障もあり先発陣はやや見劣りするものの、「情報の少なさ」がライバル球団を逆に慌てさせているようだ。
ノーマークの助っ人が結果を出せば、広島が開幕から独走態勢を築くかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)