1月30日はGlobe Theatre Los Angeles大会に観衆531人、2月1日はGrady Cole Center大会に観衆969人、2日はWar Memorial Auditorium大会に観衆618人と、3大会とも満員の盛況ぶりだった。3大会ともオープニングにはLA道場でコーチを務める柴田勝頼が登場し、英語であいさつ。アメリカの政府閉鎖でビザの問題が発生し、日本人選手が出場できないことを謝罪した上で「俺たちは新日本プロレスだ!」と高らかに叫び、新日本プロレスらしさをアピールしている。
アメリカのシリーズにはIWGP USヘビー級王者のジュース・ロビンソンをエースに、デビッド・フィンレー、バレッタ、チャッキーT、ロッキー・ロメロ、ランス・アーチャー、デイビーボーイ・スミスJr.、ジェフ・コフ、そして動向が注目されているマーティー・スカルも参戦。海外武者修行中のグレート・オー・カーン、さらにカール・フレドリックスらLA道場のヤングライオンたちも参戦した。
初日にはバレッタ&ロッキーのロッポンギヴァイスが一夜復活するなど、日本では見られないスペシャルなカードが組まれた。2日目にはジュースのUS王座にバレッタが挑戦。1.4東京ドーム大会であのCodyを倒して王座を奪還したジュースは、以前の王者時代とは違い王者としての風格を漂わせていた。バレッタの立体的な技の数々を受け止め、パルプフリクションを決めて王座防衛に成功した。
最終日は、ジュース、フィンレーにトレイシー・ウィリアムズを加えたトリオで、バレッタ、チャッキー、ロッキーのCHAOSとイリミネーションマッチで激突した。この試合もジュースが1人残りで勝利。「タナハシとオカダが組んでいるから、CHAOSはフレンドということだ」とジュースがマイクで語りかけると、6人が手を挙げて大円団。日本人選手(カーンは不明)がいない新日本プロレスのシリーズ最終戦をしっかりと締めた。
4月にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン大会でビッグマッチを、7月にはダラスで『G1クライマックス』の開幕戦をそれぞれ開催することが決定。新日本のアメリカ侵攻は止まらない。4月と7月の大会には新日本の主力選手がフル参戦するのは確実。LA道場がある強みを活かして、日米で同時期にシリーズを開催する機会を今後も増やしていくのだろう。
大資本をバックにCodyとヤングバックスが中心となって旗揚げされる新団体AEWと提携が実現すればWWEを刺激するのは間違いない。現状は提携関係にあるアメリカのROH(AEWに選手を引き抜かれている)、メキシコのCMLL(ROHとも提携中)との兼ね合いから、AEWとの提携は現実的ではないとの声が多い。ただ、AEWと契約したクリス・ジェリコは新日本再参戦をSNSでアピールしている。ジェリコは新日本参戦継続がAEWとの契約条件にあるとされる。ジェリコの存在もあり、両団体の接点はしばらく断ち消えることはなさそうだ。今年は両団体の関係がどうなるかによって、世界のマット界の勢力図が大きく塗り替えられる可能性もあるだけに、注目していきたい。
文 / どら増田
写真 / 舩橋諄