『レッスルマニア34』
▽9日(日本時間) ニューオリンズ メルセデス・ベンツ・スーパードーム
観衆 78,133人(超満員札止め)
ドリームマッチと銘打たれたこの試合は、メインではなく9試合目にラインナップ。試合前には週刊プロレス誌の表紙とWWEの映像を上手く織り交ぜた中邑がメインの煽り映像が流れる。映像が終わるとギタリストが登場し、ソロパートの後、シンスケ・ナカムラTシャツを着たバイオリニストたちが中邑の入場テーマを生演奏した。演奏に合わせ、約8万人の観客が大合唱する中、中邑が独特のリズムで入場する。「いつもより入場を短くしたい」と語っていた中邑だが、リング上ではたっぷりと時間をかけてファンを魅了した。
中邑の赤に対して、青い光に包まれながらチャンピオンのAJも入場。リング上で両者が対峙した時、メルセデス・ベンツ・スーパードームの盛り上がりは最高潮に達した。
試合は、序盤に場外に落とされた中邑が左膝を痛める。キンシャサをはじめとした中邑の蹴り技を封じたいAJは徹底的に膝を攻めていくが、中邑は痛みに耐えながらも打撃を緩めない。2年前に新日本プロレスの東京ドーム大会で闘いを繰り広げた時よりも、お互いに間合いをしっかり取っている印象。しかし中邑は、AJがスワンダイブを狙うところを担ぎ上げ、ランドスライドをガッチリ決めた。しかしカウント2で返され、AJのスワンダイブ式450℃スプラッシュは中邑が膝を立てて防ぐ。タッグを含めた対戦が新日本の2回しかないとは思えぬ“読み合い”に長けた試合となった。
ファンはAJとナカムラのコールを終始交差させながら、この試合を見られる幸せを噛み締めていた。最後は勝機と見た中邑がキンシャサを狙ったところを、瞬時に切り返してスタイルズクラッシュの体制を作ったAJが“間を置かず”に固めた。中邑は3カウントを奪われ王座奪還に失敗した。
試合後、AJが倒れている中邑に近づき、抱き起すと、2人は抱き合い健闘を称え合った。中邑はレフェリーが持っていたベルトを受け取るとひざまずきながらAJに渡し、受け取ったAJがポーズを取ったその時…中邑がAJの股間を殴打!悶絶するAJを日本語で何やら罵倒しながら中邑はAJにバイブレーションキックを連打し、場外に落とすとさらに蹴り続けて、距離を作り、完全決別のキンシャサをブチ込んで、不気味な笑みを浮かべながら引き上げた。
これに対してファンは困惑しながらも大ブーイング。今回歴史的な快挙は達成できなかったが、これで終わりではない。中邑のヒール転向は、新日本プロレスで当時はバリバリのヒールだった矢野通と電撃合体しCHAOSを作ったとき以来。あの時も試合への介入や凶器攻撃を繰り広げる中邑にファンは戸惑っていた。しかし、WWEで本当にトップを取るためには必要な行動なのだろう。中邑の真意は2日後に行われるスマックダウンで明らかになるはずだ。
▼WWE選手権試合
<王者>○AJスタイルズ(20分21秒 エビ固め)中邑真輔●<挑戦者>
※スタイルズクラッシュ
※AJが防衛に成功
文・どら増田
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