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ノーベル賞作家らが講演 国際ペン開会式(2)

 9月26日(日)の国際ペン東京大会開会式では作家2名による基調講演が行われた。マーガレット・アトウッドさんはカナダ在住で、アーサー・C・クラーク賞やブッカー賞を受賞。高行健(ガオ・シンジェン)さんは中国出身でフランス在住。2000年にノーベル文学賞を受賞している。

 アトウッドさんの講演。
 「何を書くべき書かざるべきとお説教するつもりではない。それは説教者自身の首も絞める。ヴォネガットは苦情の手紙に“自分で書けば?”との刻印を押した。明言なのでTシャツにしてほしい。空気・水・食糧がなければ文学は存在しない。人がいなければ読者がいなくなる。だから環境保全は文学が成立するための大前提。知的生物が全滅し他星からの来訪者が文献を解読するSFは多い。既にマヤなど滅んだ文明は多い。私はトースターやPCと共に埋葬され地球外学者の研究に役立ちたい。文学は自然の中で種を存続させる知恵を伝えるべく生まれた。シャーマンが語る死者や別世界の話にも事実は含まれていた。物語る能力は超自然的な魔力として迫害もされた。だが超自然は自然そのもの。物語は自然から教えを請うための魔除けかもしれない」

 高行さんの講演。
 「自然や社会環境はメディアの重要トピックだが破壊は加速するばかり。人類の生存条件を明らかにすべく現在をどう描くか。文学が政治介入しても奉仕させられるだけ。政権は大長編の完結を待たず崩壊する。イデオロギーからの脱却が必要。哲学は完全を目指すが文学は不完全な美を描く。美は主観であり善悪ではない。カフカやカミュやベケットの不条理は神や運命や死と同義。今も状況は殆ど同じ。文学は進化を超越しており進化史として記録できない。先人の作品を参照して座標を求め文化を更新すべき。その時その場所の人生を深く描けば政府の歴史書より役に立つ。英国混乱期にシェイクスピアが登場したように停滞した時代にこそ文学が必要だ」(工藤伸一)

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