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鳥谷敬 4億円
糸井嘉男 4億円
メッセンジャー 3億5000万円
西勇輝 2億5000万円
ガルシア 1億7000万円
(ドリス 1億7000万円)
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契約更改の報道に基づく高額年俸ランキング5傑は、上述の通り。生え抜きの鳥谷以外は、外国人選手か、他球団から移籍してきた選手となる。
また、阪神の1億円プレーヤーは計10人で、上述の6人以外では、藤川球児・1億4000万円、福留孝介・1億5000万円、能見篤史・1億1000万円、マルテ・1億1000万円がいる。この年俸ランキングにも、阪神の低迷ぶりが表れている。生え抜きの1億円プレーヤーは鳥谷、藤川、能見だけ。野手に至っては「今季38歳」を迎える鳥谷のみ。ここ10年間、生え抜きの野手から新しい1億円プレーヤーは一人も出ていない。
関西地区で活躍するプロ野球解説者に、阪神の契約更改について聞いてみた。
「どの球団も同じだと思いますが、3年続けて好成績を挙げなければ、フロントは一人前とは見てくれません。面白いのは、野手で昇給を勝ち取った梅野と糸原ですよ。梅野は生え抜き捕手では88年以来となる規定打席に到達しました(18年)。糸原は今季から主将を託された有望株、この2人の昇給額が2400万円で一緒なんです。ヘンに金額を揃えるところが阪神らしいというか」
梅野隆太郎は2600万円から、糸原健斗は1600万円から「2400万円」の昇給となった。
18年オフの契約更改で、もっとも1億円に近い生え抜き野手は、上本博紀の6000万円(現状維持)。故障で20試合しか出ていないが、上本は国内FAの行使も考えていたという。前半戦に好調だった打撃成績も加味し、「サービスで大甘査定した」のではないだろうか。
鳥谷に続く「生え抜き野手の1億円プレーヤー」が出現すれば、チームの再建は加速する。しかし、こんな見方もできる。当たり前の話ではあるが、1億円プレーヤーとは、レギュラー選手である。故障の癒えた上本を使うとなれば、糸原とセカンドのポジションが重複してしまう。糸原をサードにコンバートするとしても、今度は大山悠輔(3000万円)とぶつかってしまう。大山は一塁も守れるが、「ファーストは外国人選手が入る予定」(在阪記者)だという。
要するに、阪神は中・長期的な視野に立って、選手を獲得していないのだ。
「藤浪晋太郎が30%ダウンで1億円プレーヤーから転落しました。2ケタ勝利を果たせば返り咲きは必至ですが」(前出・在阪記者)
現1億円プレーヤーの高齢化も気になる。昨年末の阪神OB総会・懇親会で、出席者が巨人の大型補強を揶揄していた。本当は同じことをやっている阪神を非難していたのではないだろうか。
藤浪が復調すれば、阪神が簡単に優勝戦線に浮上できる。仮に優勝できたとしても、生え抜き野手の1億円プレーヤーが出現しなければ、チーム再建はできなかったことになる。矢野燿大監督の使命は、優勝だけではないようだ。(スポーツライター・飯山満)