「復活登板した翌日(17日)、一軍登録を抹消されています。再登録は27日以降、首脳陣の話を聞いていると、もうちょっと後の一軍復帰となりそうですが」(スポーツ紙記者)
松坂は16日に先発登板した。5回を投げ、被安打4、失点2。松坂自身に勝敗は付かなかったが、チームはその後、サヨナラ勝ちを収めている。
この連勝中、中日のリリーバーは“興味深い結果”も残している。松坂が先発した16日を含め、8連勝の中でリリーバーたちは「8試合で失点1」。8試合で1点しか取られていないのだから、先発投手も強い信頼感を寄せているはずだ。与田監督も、試合半ばの5、6回で先発投手を交代させ、継投策に入ることができる。
「松坂の先発復帰に踏み切ったのも、リリーフ陣の好調があったからです。今は打線も好調なので、少々の失点でも追い付けると判断したようです」(前出・同)
松坂の復帰登板と登録抹消に関する話を聞いていると、「チームが好調だから、投げさせてやろう」といったような発想もあったようだ。
在阪球団に詳しいプロ野球解説者がこう続ける。
「今の松坂には先発ローテーションに入って、投げ抜く力はありません。1回先発させたら、10日以上間を空けないと投げられません。その間、投げられないピッチャーを一軍登録しておくよりも、リリーフタイプの投手を代わりに登録しておいたほうがチームのためにもなる」
もっとも、多彩な変化球で打ち損じを誘うピッチングはベテランらしい、味のあるものだった。また、松坂のピッチングをネット裏で見ていた他球団のスコアラーもこんなことを話していた。「13打数ヒットなし」と。どういうことかというと、松坂はピンチになると、強くなるのだという。
「満塁になって迎えたバッターとの対戦成績が、『13打数ノーヒット』なんですよ。昨季、中日入りしてから、ずっと続いています。16日も3回表に二死満塁のピンチを招きましたが、見逃し三振を奪いました。ピンチになってからの勝負強さは認めざるを得ない」
年齢的に見ても、「中6日」で回っていく先発ローテーション入りは無理かもしれない。使い方を間違えなければ、あるいは、リリーバーの状態など周囲が配慮してやれば、まだ投げられるというわけだ。
周囲にこれだけ気を遣わせているのだから、松坂本人も気が付いているだろう。
チームのために投げてくれる松坂が見たい。取材陣の質問内容が「復活」「現役続行」に偏重したからだろうか。松坂は「もう少し(現役を)やりたい」と試合後にコメントしていた。登板間隔を空ければ、先発の責任イニングを投げられることは分かった。あとは、「チームのために」「ファンのために」の言葉が出るのを待つだけだ。(スポーツライター・飯山満)