WWEの公式ホームページにもスーパースターとして掲載されているクリス・ジェリコも今年から新日本プロレスにスポット参戦し、プロレスファンに大きな驚きを与えている。ジェリコの場合は、WWEには参戦する時のみワンマッチ契約するフリー選手だったため、新日本参戦が実現したと言われている(ジェリコいわく、WWEのビンス・マクマホン代表の許可は得ているとのこと)。
しかし古巣のリングとはいえ、ヒデオ・イタミのようにWWEに本格参戦している選手が凱旋帰国するのは近年では異例中の異例。中邑真輔がWWE所属のまま新日本に凱旋し、棚橋弘至と対戦するようなものである。ただ、かつてのWWEはまたTAKAみちのく&ショー・フナキの海援隊が所属していた縁から、新崎人生が白使のリングネームで帰還したこともあった。ジ・アンダーテイカーもみちのくプロレスに派遣。海援隊を一時帰国させ、ザ・ロード・ウォリアーズのWWE時代のチーム名だったリージョン・オブ・ドゥームをバトラーツに派遣するなど、90年代はスポット的に所属選手を来日させることがたびたびあった。
ヒデオは全日本プロレス時代、本名の小林健太で活動していた。丸藤はデビュー戦の相手を務めてくれた先輩であり、一緒にプロレスリング・ノアの旗揚げに参加している。リングネームをKENTAに変えてからは、ノアのジュニアヘビー級戦線で活躍。タッグパートナーに丸藤を据え、闘う時は良きライバルとして、お互いに切磋琢磨してきた。2人は切っても切れない関係にある。
丸藤がジュニアでありながらGHCヘビー級王者になった際にはKENTAが挑戦し、丸藤が古巣の全日本で世界ジュニア王者になった際には、GHCジュニア王者だったKENTAが名乗りを上げ、初のダブルタイトルマッチを敢行。60分時間切れ引き分けの激闘を演じている。その後、ヘビー級に転向し、GHCヘビー級王座を奪取。ヘビー級転向後は反体制ユニットを立ち上げるなど、常に丸藤の対角線に立っていたが、ノアのラストマッチでは丸藤とのコンビを復活させファンを喜ばせた。
WWEは8月31日に大阪公演が決定しており、ヒデオはこちらにも出場する可能性は高い。ノアの交渉に応じたWWEの狙いが気になるところだが、今は夏の終わりに実現するドリームマッチに期待したい。なお、当日は丸藤と所縁のある選手(新日本からは不参加)が団体の枠を超えて多数参戦する。
文・写真 / どら増田