search
とじる
トップ > スポーツ > 大相撲八百長疑惑力士に携帯電話・預金通帳の提出求めるも、全容解明は可能なのか?

大相撲八百長疑惑力士に携帯電話・預金通帳の提出求めるも、全容解明は可能なのか?

 大相撲の八百長疑惑問題について、2月4日、特別調査委員会は疑惑がかかっている14力士に、任意で携帯電話、預金通帳の提出を求めた。解析に当たり、同意書の添付を義務付ける。任意とはいえ、「拒否されることはあり得ないというスタンス」(伊藤滋座長)とのプレッシャーがかかっており、事実上強制だ。携帯電話の解析は民間会社がデータの調査に当たるという。

 果たして、これで完全な調査はできるのか? 削除したメールの復元は可能だが、通話に関しては通話先、日時しか特定できず話の内容までは分からない。ましてや、八百長をやった力士本人ではなく、第三者に仲介を依頼していた場合、電話やメールではなく直接交渉していた場合は、携帯電話に証拠は残っていない。
 預金通帳なんて出しても、さしたる意味はない。記帳していなければ分からない。未記帳分の個人情報を銀行が教えてくれるだろうか? そもそも、銀行振込ではなく直接受け渡ししていた場合も多いだろう。これだと、証拠は残らない。「メールに名前は挙がっていたが、実際には八百長をやっていない」と主張した力士を、クロと断定できるのだろうか? この調査はやらないより、やった方がマシだが完全とはいえない。自白した力士はクビが飛び、シラを切った力士は生き残る可能性すらあるのだ。

 この14人は野球賭博に関与した元前頭・春日錦の竹縄親方(春日野)と千代白鵬(九重)の携帯電話が、たまたま警察に押収された結果、浮上した力士たちである。これ以外の関取については、「八百長をやったことはあるか?」との聞き取り調査のみで終わるのか? そうであれば、物証が残っている14人と違い、携帯電話を調べられることもなく、「やっていません」と回答すればすむことだ。

 ちゃんと全容を解明したいなら、全力士の携帯電話を調べるくらいのことはしないと無理。そこまでしたら、いったい何人クロが出るか分からないからしないのか? もし、横綱や大関から出てしまったら困るからできないのか…。

 そもそも、八百長は犯罪ではない。建て前、任意とはいえ、個人情報を調査することは法に触れないのか? 今回の14人への調査でクロだと判明し、クビになった力士が後で、「同意書は強要されたものであって、プライバシーの侵害等に当たる」などと提訴してきたら、日本相撲協会は勝てるのだろうか?
(ジャーナリスト/落合一郎)

関連記事


スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ