その「あづま通り」にある植樹帯の中に、弁天様がまつられている。子どもの背丈ほどの高さで社はないが、日本三大弁天の一つに数えられる江島神社(神奈川・藤沢市)から、祭神の霊を分けてもらう勧請(かんじょう)を行い、2009年に建立されたものだ。名前を「入利(いり)弁天」という。
「入利弁天」には幸福と商売繁盛の利益があり、琵琶を持つ姿からミュージシャンたちからも信仰を集めている、そう話してくれたのは、あづま通り商店会の面々。5月14日(土)と15日(日)に「あづま通り」で開催された「縁台ふるほん市・拡大版」で、「入利弁天ストラップ」と「入利弁天開運おみくじ」を出展していた「あづま通り商店会ブース」は、子どもから大人まで、にぎわいを見せていた。
「縁台ふるほん市・拡大版」は、2010年5月から「入利弁天」の縁日に行われてきた「縁台ふるほん市」の拡大版。近年、神社仏閣で行われるフリーマーケットが「寺社マルシェ」として人気を呼んでいるが、「縁台ふるほん市・拡大版」では、付近の通り一帯が弁天様のマルシェ(フランス語で市場の意味)となるという。
弁天様にお参りを済ませたあと、さっそく、あづま通りを歩いてみた。
あづま通りでは、路上に設置された縁台ごとに、古書をはじめとし、豆本や、レトロな玩具や、手づくり手鏡などが並べられていた。縁台のなかには、「この辺・タダなのにゃ!」と案内されたフリーペーパー(無料配布冊子)や、自主流通物のミニコミ誌が置かれている所もあった。古書の路上販売がメインのイベントだが、手づくり品なども出展可能な形式に拡大したそうだ。
また、「あづま通り」には、森ガールの“聖地”と呼ばれる店があると聞いた。さっそく、のぞいてみた。
最初の店は、箱で区切った展示スペースが所狭しと並ぶ雑貨ショップ「Too-Ticki」。白壁の外観で、扉をくぐると、キノコの形をした人形、粘土で作ったお菓子に鎖をつけたキーホルダー、カラフルなろうそくなど、箱ごとに味わい深い世界が広がっていた。
次に入ったのは、「HATTIFNATT」というカフェ。こちらも山小屋ふうの外観。入店すると、階段を上った2階は広々とした造りで、さらにロフト階もあった。壁じゅうに、色鮮やかな動物や植物などの絵が描かれている。おしゃれな女性たちで満席だった。
記者が「あづま通り」を訪れたのは「縁台ふるほん市・拡大版」をひやかしに来た今回が初めてだが、新しいカルチャーを受け入れながら独自性を増すといわれる高円寺の一つの顔を見た気がした。(竹内みちまろ)