「両親が進学を強く勧めていて、本人がまだ決断できないでいるようです。ということは、清宮本人は『プロ志望』なんです」(在京球団スカウト)
清宮は10月26日のドラフト会議において、“禁じ手”を使う。「それでも、1位入札する」と言い切れる球団も限られてきたようだ。
「清宮の両親はプロ野球界の有力者にも相談しているようですね。早稲田大学、東京六大学リーグにすれば是が非でも進学してもらいたい選手ですし、禁じ手はその折衷案とも言えます」(前出・同)
禁じ手とは、進路未定のままプロ志願届を出すことだ。そして、指名球団との直接交渉に臨み、両親のお眼鏡に適わなかった場合、進学――。ルール上は問題ない。清宮家が懸念しているのは、起用法などの条件面ではなく、「野球を通じての人間形成」であって、ここに、将来のメジャーリーグ挑戦も絡んでくる。指名しても入団しないリスクも高い。それを承知で指名できる球団は自ずと限られてきた。
「父・克幸氏はプロアマを問わず、スポーツ界に精通した人物です。進路未定でのプロ志願届提出は妙案ですが、プロ野球内部の関係者でなければ助言できません。克幸氏のネットワークから考えると、楽天の星野仙一副会長、日本ハムの栗山英樹監督ですかね」(ベテラン記者)
日本ハム球団は、栗山監督を続投させる方向で固まっている。昨季の優勝、日本一から一転。今季は最下位争いに転じてしまったが、球団は「故障者続出」を敗因と分析しており、栗山監督に責任を負わせるつもりはないという。手腕を変われての続投要請だが、清宮指名後の交渉において、同監督の出馬は大きな武器になる。
「日本ハムは大谷(翔平=23)のメジャー流出を念頭に入れたチーム作りとなれば、清宮は是が非でも欲しい逸材です。日本ハムは20代半ばでピークを迎える独自の選手構成で、FA権を行使した選手は見送ってきました。4番の中田翔も28歳。先輩選手がチームを出て行った経緯を見てきたので…」(前出・同)
2024年前後の新球場移転も考えれば、清宮の人気は必要だ。一時期、広陵・中村奨成捕手に乗り換えたとの情報も流れたが、今夏の甲子園を沸かせた18歳が“ピーク”を迎える時期が新球場移転年と重なる。
「大谷が今オフにメジャー挑戦を正式に表明するとしたら、入札制度となります。その入札制度のルール見直しが米球界側から出ていますが、具体的な内容はいまだ示されておりません。9月4日のプロ野球・実行委員会で『進展ナシ』の報告がされ、ほとんどの球団が慌てていたのに、日本ハムは淡々としていました」(球界関係者)
大谷ロスがすでに折り込み済みで、清宮獲得に関心が移っているからだろうか。
U−18野球ワールドカップで現地入りした取材陣の一人がこう言う。
「清宮は高校生活最後の試合となったカナダとの3位決定戦後、優勝したアメリカチームのもとを独りで訪ね、記念写真を撮っていました。英会話の勉強はかなりやっているようですね」
「メジャーリーグの本塁打王」なる夢があるからだろう。
阪神、ヤクルト、巨人、ソフトバンクも清宮の1位指名を検討しているという。09年ドラフト会議に逆上れば、メジャー志望の強い菊池雄星(現・埼玉西武)を巡り、異例のドラフト前面談が設けられた。この面談を経て、「脈ナシ」と踏んだ球団は指名から下りている。清宮に対しても、同様の措置が行われるとしたら、日本ハムはその席にも栗山監督を帯同させるのだろうか。