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ワンダーフェスティバル詳報、エロフィギュア初登場「18禁コーナー」に芸術を見た

 ヲタクたちの夏がついに始まった。世界最大のガレージキットの展示・販売イベント「ワンダーフェスティバル2009夏」(主催・海洋堂)がさきごろ、千葉・幕張メッセで盛大に開催された。今年の注目は新しく設けられた“18禁コーナー”。魅惑のエリアに一歩足を踏み入れると、もはや芸術の域に入った甘美な官能作品たちが出迎えた。

 1年間のブランクを要した待望の再開だった。昨年8月のイベントで、開場時に来場者が密集して突如エスカレーターが逆流する事故が発生。雪崩のように押し戻され10人余りがケガをした。年2回開催が恒例だったが、昨冬の開催は見送られた。
 あれから1年を経た今年は場所を移転し、ヲタクたちは幕張メッセに“民族大移動”。都心を離れ来場者数減が心配されたが、フタを開けてみれば東京モーターショーと肩を並べる巨大スペースに過去最大規模のディーラーが出展。会場は超賑わいで、炎天下の当日はヲタクたちの熱気と汗が充満し、一種異様な雰囲気に!
 不況下にフィギュアファンの熱気の高さをあらためて実感させる催しとなった。
 今回の注目は初めて18歳未満立ち入り禁止の「成人向けゾーン」が設置されたことだ。魅惑の桃源郷への入り口には警備員が常駐し、白髪の初老男性にも身分証明書の提示をお願いする徹底ぶり。レンタルビデオ店のアダルトコーナーよりも厳格な入場制限をくぐり抜けた先には前衛的官能作品の数々が並ぶ甘美な世界が広がっていた。
 ロリ&アニメフィギュアの全盛期にあって、あえて大人の和風美女で勝負している実写系フィギュアの前に、目の肥えたヲタクらが集っていた。リアルな人妻系フィギュアの立像には品格すら漂う。
 その隣には葛飾北斎の「蛸と海女」を再現した作品。熟した女体に絡みつく蛸の足はまるで本当に湿っているかのような質感。「だめよだめよ」と言いながらも蛸の攻めに感じてしまう美女の悩ましげな表情は芸術の域だ。販売主は「本当はもっと知名度を高めて美術館に持って行きたい」と語った。

 フィギュアの原型を作る人を原型師と呼ぶ。見入っていたファンの一人は「いま、これだけの実写系が作れる原型師は全国に100人もいないですよ。さらにこれで食べていけるって言ったら片手にも満たないはずです。それだけ貴重な芸術品なんです」と手放しで称賛した。
 そんな中、美女たちの裸に混じって、なぜか素っ裸な青年のフィギュアを発見! 青年の股間は可愛いピンクの宝刀がヘソにくっつく勢いでおっ立っている。販売していた男性に「なぜ男のコの?」と尋ねると、「いや、単純に好きなんで」と顔色一つ変えずに答えた。「学校に通いながら作ったので、完成には一週間かかりましたね」。
 これを痛い趣味と侮るなかれ。昨年、日本を代表する現代芸術家・村上隆氏作の、青年が勃起した男の象徴を握りしめ空に向かって精液をブッカケているというナゾのフィギュアが、米国で開かれたサザビーズのオークションで約16億円もの大金で落札されたのだ。未来の前衛芸術家との出会いもイベントの楽しみ方の一つかもしれない。
 同イベントを皮切りにヲタク界のビックイベントはコミックマーケット(8月14日〜16日)、東京ゲームショウ(9月)へと続いていく。ヲタクたちの長い夏はまだはじまったばかりだ。(関)

◎今年話題になったこんな人もフィギュアに
 成人向けゾーンはあくまで広大なイベントのごく一部。会場にはエイリアンから戦艦大和まで自慢の芸術品が所狭しと並んでいた。
 そのなかに、4月に最高裁で死刑判決が確定した和歌山毒物カレー事件のあの人にソックリなフィギュアを発見。一体1500円で丁寧に塗装すれば写真下のような本人瓜二つの完成品が出来上がる。でも、これをどこに飾ればいいのか…。

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