則本といえば、最速158キロのストレートと落差十分のフォークボールで、打者をねじ伏せる力強い投球をイメージする人が多いだろう。だが、番組では則本のボールの速さやキレではなく投球術を特集した。
楽天球団のチーム戦略室戦略R&Dグループ・川井貴志氏は「リリースポイントを10cm前にすることが則本投手はできます」と手元からボールを離すポイントを意図的に10cm前にすることができるのだという。
野球解説者の里崎智也氏は「『アッ』って思った時には、もう差し込まれちゃってるので、バッターは打ちに行くことが遅れちゃって、バットを出そうにも出せない」とリリースポイントを10cmずらすことで、バッターのタイミングもずらすことができ、かなり打ちづらくすることができるらしい。
さらに、里崎氏は「フォームのバランスを崩さないように、微妙な誤差を作り上げるっていうのは並大抵ではないです。誰しもできることではない」と則本の投球術のレベルの高さに太鼓判を押した。
スタジオでは、スピードワゴン・井戸田潤が「(打者の)どんな感じを見て(リリースポイントを)変えようって思うんですか?」と質問。
則本は「1球前に投げた球に対する反応を見たり。イニングが進んでいけば、それまで3回4回対戦するわけなんで、相手バッターにもそれまでの配球が(頭に)あるじゃないですか?同じストレートでも違う球を投げればいい」と打者の雰囲気やその日の組み立てなどを参考情報として、臨機応変にリリースポイントを変えていくと語った。
一級品のストレートと変化球を持っていながら、バッターのタイミングをずらすハイレベルな投球術もある則本。あれだけの三振を奪えるのも納得してしまう。投げる球だけではなく、リリースポイントにも注目すれば、則本昂大という投手のすごさがより感じられそうだ。