件の放送は6月20日の深夜に放送された『ドキュメント20min・穂花 裸になれない心』。穂花といえば、AV引退後の2010年に上梓した自伝『籠』(主婦の友社)にて、複雑な家庭環境、幼少時の性的虐待と誘拐、騙され脅されてのAV入りなど、波瀾万丈極まる生涯を赤裸々に告白したことが記憶に新しい。
放送は、自伝の内容を継承した作りとなっていて、穂花が自らのルーツである故郷・鹿児島のゆかりのスポットを、若手女性ディレクターとともに歩いて回るというもの。
自伝にて穂花は、借金の取り立て屋の「川上」という男に1年近く誘拐されたものの、その男に対して「初めて人に優しくされた」という感情を持っていた…という、凄まじすぎる過去まで吐露していたが、そのエピソードを故郷を歩きながら紹介していたのが、本放送のハイライトであった。
自伝を“予習済み”の一部視聴者からは「自伝の凄まじさと比べたら食い足りない」「もっと踏み込めたはず」という厳しい意見も見られたようだが、わずか20分という放送時間、そしてNHKでありながら元AV女優の放送コードを踏み越えたキワキワの人生に真っ正面から取り組んだ姿勢は、評価されて然るべき。
局内の若手制作者に“お任せ”で制作させる『ドキュメント20min』のタブーを恐れぬ柔軟な番組作りに、今後も期待したい。