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中央大教授刺殺事件で逮捕 教え子の素顔

 東京都文京区の中央大理工学部キャンパスで今年1月、同大教授の高窪統(たかくぼ・はじめ)さん=当時(45)=が刺殺された事件で、警視庁富坂署捜査本部は21日、殺人の疑いで神奈川県平塚市に住む中央大理工学部卒業生でアルバイト店員の山本竜太容疑者(28)を逮捕。迷宮入りが囁かれた事件は、教え子の逮捕というショッキングな結末を迎えた。山本容疑者が大学卒業後、高窪さんに何らかの形で接触していたとみられることもあらたに判明。“狂気”を醸成した素顔が浮かび上がってきた。

 山本容疑者は高窪教授の教え子で、卒論の指導も受けていた。具体的な師弟関係のトラブルは見つかっていないが、2004年3月に中央大学を卒業した後も、高窪さんと接触していたようだ。
 捜査本部によると、高窪さんは昨年5月、研究室の教え子に「(山本容疑者が)自分を訪ねて来たら教えてほしい」と話していた。山本容疑者について当時の研究室仲間は「思い込みの激しいタイプだった」と話しているとされ、捜査本部は高窪さんが事前に接触してきた山本容疑者の動向に注意を払っていた可能性もあるとみている。
 調べに対し山本容疑者は「高窪先生を刃物で何回も刺し、殺したことは間違いありません」と容疑を認める一方、「動機は話したくない」と供述。一方的に恨みを募らせ、殺害するに至った可能性が高まっている。

 警視庁によると、山本容疑者は幼少期から大学まで東京都府中市で育った。大学卒業後は神奈川県平塚市でひとり暮らしを始め、食品製造会社の管理部門に勤務。その後、職を転々とし、いずれの会社も「職場になじめない」などの理由で最長4カ月以内に退職している。自己都合退職のほか解雇されたこともあり、転職を4回繰り返した。逮捕時には、近くのホームセンターで商品の搬入を担当していた。
 逮捕容疑は1月14日午前、文京区春日1丁目の中央大理工学部1号館4階の男子トイレ内で、高窪さんの胸や背中などを刃物で多数回突き刺すなどして殺害した疑い。
 捜査本部は、胸や背中などに60カ所を超える傷があったことなどから、恨みなどで強い殺意を持った犯行とみて、高窪さんにトラブルがなかったか捜査を進めていた。
 高窪さんはテレビや携帯電話に使われる電子回路の専門家で、祖父、父も中大教授を務めたことがあり、妻も現役の大学准教授という学者一家だった。
 中央大理工学部の田口東部長は「どうしてこうなったかよく調べて反省すべきは反省したい。(容疑者は)報道で初めて知った。彼がどういう人物か分からないのでコメントできない」としている。
 捜査本部は22日、山本容疑者宅など関係先を家宅捜索。凶器の刃物の発見を急ぐとともに、犯行の詳しい状況や動機を調べる。
 いったい二人のあいだに何があったのか。捜査の進展が待たれる。

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