「私はね、逮捕されてから11年も刑務所に入っていたんだよ。出てきたのはつい5日前。刑務所を出るに当たって、私が固く決意したのは、お金を出した方々に全額弁済をする、ということです。表面的な被害額は1億7000万円だけど、実際に350億円損をした方々がいる。その人たちにお金を返さなければ男じゃない、ということですよ。それも、1年以内に全額を返すと宣言しておるわけです」
どう返済するかの計画は後述するとして、山本氏が引き起こした経済革命倶楽部(KKC)事件の概要をおさらいしておこう。
KKCは1995年に発足。浄水器や健康食品、平成小判を購入する形で出資者を募った。会員は商品を購入すると同時に、会員を一人増やすことが義務付けられるが、数か月後には高額な配当を受け取ることができる。
山本氏の巧みな弁舌もあって会員は急激に増え、わずか1年で会員は1万2000人に達し、出資額は700億円にものぼった。山本氏の独特の経済理論というのはこうである。
「今の経済というのはね、売りの経済だ。売って儲ける。しかしその経済は限界にきている。私は買いの経済に転換して皆が幸せになるようにと考えた。
たとえば年収600万円ある人が35年働くと生涯賃金は2億1000万円ですよ。1000万円貯金して2億円使ったとする。2億円を使って40%の利益を上げたとすると、8000万円の利益だ。これは売った人の利益になる。売った人、つまり私だ。しかし私はこの8000万円をあなたにあげましょうと言って渡してしまう。
貰った人は喜ぶでしょう。すぐにまた買うじゃない。こうしてどんどん消費が上がってゆき、経済が活性化してゆく。あのとき私は言った。消費を上げなかったら、少子化、高齢化の社会になったときどうすると。いまそのとおりになっているじゃないか」