各メディアの報道で既にご存知の方もいるかもしれないが、今回の検査に臨んだのは10名で、全員が「身長167センチ・体重67キロ」以上の体格基準をクリア。また、その中には元中学横綱の肩書を持つ少年や、親族が力士だった少年なども含まれているという。
内臓検査に問題がなければ、この10名は晴れて入門となるが、もちろん、その後大成できるかは彼らの取り組み次第。ただ、“あれだけのこと”があってもなお、角界に夢を抱いて検査に臨んでくれた彼らには、冒頭のような感謝の念を抱かずにはいられない。
改めて説明するのも気が滅入るが、“あれだけのこと”とは、昨年角界に幾度となく勃発した騒動や不祥事のこと。一年を通じて次々に湧いて出た不名誉なトピックは、土俵内外に深刻なダメージを与えることとなった。
上記のトピックに対して挙がったネット上の声の中には、「子どもに相撲はさせたくない」という親世代からのコメントも少なからず見受けられた。また、実際に昨年7月場所の新弟子検査では、11年ぶりに受験者がゼロに終わってもいる。
恐らく、今回検査に臨んだ10人も、そこに至るまでに家族や周囲から様々なことを言われたのだろう。しかし、彼らは「関取になりたい」、「横綱になりたい」という気持ちを曲げずに、こうして“夢”の入り口までやってきてくれたのだ。一相撲ファンとしては、とにかく感謝の気持ちしかない。
これから始まる力士人生の中では、また昨年のような騒動が勃発することもあるかもしれない。しかし、彼ら10人には今抱いている夢や憧れをそのままに、“初志貫徹”の精神で鍛錬に励んでもらいたい。そして、大きく成長を果たした彼らが、ポジティブな話題を数多く提供する力士になってくれることを切に願いたい。
文 / 柴田雅人