“平成最後の年”は、「14勝1敗」をマークした栃ノ心の平幕優勝で幕を開けた。右膝の大けがにより、一時は幕下まで番付を落とした男が掴んだ初めての栄光。どん底からの大逆転劇は、多くのファンの感動を誘った。
“V字回復”を見せたのは、3月場所の鶴竜も同じだった。1月場所で進退問題をなんとか振り払った横綱は、この場所「13勝2敗」で8場所ぶりに優勝。白鵬、稀勢の里の2横綱が不在の中、“最後の砦”として綱の威厳を守り抜いた。
続く5月場所は鶴竜が「14勝1敗」で2連覇を果たす一方、栃ノ心が大関取りに挑戦。優勝次点となる「13勝2敗」を叩き出した“角界のニコラス・ケイジ”は、期待通りに大関の座を射止めることとなった。
3横綱1大関が揃って休場と、実力者が不在だった7月場所。しかし、この状況は「13勝2敗」で初優勝の御嶽海を筆頭に、豊山、朝乃山、北勝富士、貴景勝といった若手の活躍という“副産物”を生むことにもなった。
白鵬が「15勝0敗」で41回目の優勝を果たした9月場所だが、それ以上の注目を集めたのが稀勢の里。進退をかけて久々の土俵に上がった横綱は、ファンをヒヤヒヤさせながら「10勝5敗」でなんとかこの場所を乗り切った。
記憶に新しい11月場所では、貴景勝が「13勝2敗」で初優勝。場所前のゴタゴタを乗り越えての栄冠は、稀勢の里の途中休場、御嶽海の大関取り完全消滅といった残念な話題を一気に吹き飛ばす明るい話題となった。
今から18年前の2000年と同じく「2横綱1関脇1小結1平幕」が優勝し、内3人が初優勝となった2018年。2000年の場合は翌年曙が引退し、朝青龍が新入幕を果たす“時代の転換点”となったが、果たしてその歴史は繰り返されるのだろうか。明日から始まる2019年は、“新時代”の到来を期待しつつ大相撲を見ていきたいと思う。
文 / 柴田雅人