14日のトーゴ戦(宮城)を5-0で圧勝した岡田ジャパン。注目度ナンバーワンの森本貴幸(カターニャ)が代表初ゴールを決め、日本代表のエースFWの座をつかんだ岡崎慎司(清水)が2戦連続ハットトリックを達成した。本田圭佑(VVVフェンロ)もダメ押し点を挙げるなど若い力が大爆発。10月3連戦(香港、スコットランド、トーゴ)で日本は合計13得点をマークした。来年のW杯に向けて、チーム強化は至極順調のように見える。
だが、浮かれてはいけない。今回のトーゴは完全な2軍。エース・アデバヨル(マンチェスター・シティ)は移動途中のパリで消え、たった14人で来日。宮城入りしたのは試合19時間前。当然、戦意もなく、コンディションは最悪だった。
「相手は関係ない。自分たちのサッカーをやり通すことが一番だ」と岡田・指揮官は呪文のように唱え続けたが、弱すぎる相手に抜本的強化は難しい。
トーゴが放ったシュートはたった1本。中澤佑二(横浜)ら守備陣の練習にもならなかった。相手が弱すぎたという現実は香港、スコットランド戦も全く同じ。日本サッカー協会のマッチメークのミスは明らかだ。
そんな不甲斐ない相手だからこそ、絶対的支柱の中村俊輔(エスパニョール)には華々しい活躍を見せてほしかった。が、彼はまたも不調に逆戻りしつつあるようだ。香港戦でスペイン移籍後のモヤモヤを払拭したかに見えたが、この日はパスミスを連発。「自分が一番ハードワークしていた」と本人も自身を納得させようとしたが、どこかおかしい。
懸案だった俊輔と本田圭佑の共存問題も解決の糸口が見えないままだ。9月のオランダ戦で2人が一緒にプレーした際は完全に空回り。「後から違う選手が入って連動が崩れた」と俊輔が暗に本田を批判したことから、2人の対立関係が大きくクローズアップされた。
その遺恨が今もあるのか、俊輔は本田になかなかパスを出さず、2人が絡む場面も極端に少なかった。本田は本田でアピールに必死。パスを受けると強引にシュートを打つものの、どうもワクに飛ばない。結局7本打って、ラッキーゴール1点だけ。これでは周りを納得させられない。普段から「ビッグマウス」で知られるこの男が試合後は言葉少なにスタジアムを後にした。
結局、森本のテストも中途半端に終わるなど、不安要素が山積したままの岡田ジャパン。8カ月後に迫った南アW杯は本当に大丈夫なのか…。
◎悪循環生むマッチメークに課題
「極東の端の国までベストメンバーで来てくれる国はそうない」と岡田監督は言うものの、近年は来日する代表戦の相手があまりにひどすぎる。
2002年W杯前はフランスやイタリアなど強豪国が最強布陣でやってきた。日本の環境を事前に知る必要があったうえ、指揮官のトルシエがフランス人というのも大きかった。2006年ドイツW杯前も世界的知名度の高いジーコが監督。どこもまずまずの戦力を揃えてきたものだ。
ところが、2007年末の岡田ジャパン発足後は状況悪化が著しい。トーゴのベリ監督も「日本の監督はどこの国の人間か?」と前日に言うほど、事前情報を持っていなかったという。中村俊輔以外に国際的スターが不在で、先月のオランダ戦で完敗したのも響いているようだ。
ゆえに観客動員も伸びず、テレビ視聴率も頭打ち。チーム強化にも支障が出る。まさに悪循環だ。
マッチメークの問題を何とかしないと日本代表のレベルアップはあり得ない。
【訂正】
記事中に「確執が噂される中村俊輔と本田圭佑の対立関係がさらに悪化していることだ。」とありましたが、不適切でした。「確執が噂される中村俊輔と本田圭佑の対立関係が微妙な空気をはらんでいることだ。」に訂正してお詫び致します。(10/16日訂正)