セ・リーグ投手成績表では、最多勝争いは13勝の前田健太投手(22)を筆頭に、12勝が4人(15日時点)。前述のチェン、中日・吉見一起(25)、巨人・東野峻(24)、阪神・久保康友(29)が前田を追い掛けており、「11勝・石川、10勝・村中、由規のヤクルト3投手にも逆転の可能性がある」(プロ野球解説者の1人)と予想されている。
残り20試合を切った今、彼らはローテーションの間隔を狭め、“強行登板”してくるだろう。そんな『個人タイトル争い』優先の展開が如実に表れるのが、4位以下のBクラスチームでもある。
「中日、巨人、阪神の上位3チームにとって、下位チームとの『取りこぼし』は優勝争いをするうえで、致命傷にもなりかねません。マエケン、ヤクルト3投手が優勝チームを決めることになりそう」(プロ野球解説者の1人)
マエケンこと前田健太は、男性週刊誌のインタビューで「防御率のタイトルが欲しい」とも語っていたが、ここにきて、「最多勝も!」と言い直している。広島の残り試合は「16」。先発登板のチャンスは4回あるかどうかだろう…。
「野村(謙二郎)監督はローテーションを崩さずに、ここまで戦ってきました。だから、ブキミなんですよ」(前出・同)
ローテーション通りに行けば、前田は16日の対中日戦後、ヤクルト(23日)、同(30日)での先発登板が予想される。しかし、雨天中止などによる10月の組み換え試合日程を見てみると、10月6日に阪神戦、同7日に巨人戦が控えている。中6日の現ローテーションを守れば、マエケンの4度目の先発は巨人戦となるが、野村監督が10月9日の現・最終試合に備え、「勝ち星が付く場面で投げさせたい」と考えれば、マエケンの先発は6日の阪神戦に前倒しされるだろう。
「23日のヤクルト戦までに2勝できなければ、30日の巨人戦ではなく、1日前倒しして29日(ヤクルト戦)に先発させるかも。一方、中日はチェンと吉見がともに緊張感を持ちながら最後まで投げる形になるので、首脳陣としては理想的な展開です。この時期、下位チームは個人タイトルを援護するしかありませんから…」(同)
個人タイトル獲得のため、チームが必要以上の援護射撃をするのは宜しくない。ただ、広島の場合、前田の先発ローテーションを縮めれば、「今村猛(清峰高)をもう1度テストできる」など、来季を見据えた前向きな投手起用ができるので、ファンの反発も起こらないだろう。
「クライマックスシリーズ進出に一縷の望みを残す4位・ヤクルトは、14日の巨人戦に松井光を先発させました。翌15日に先発した由規の先発を前倒し作戦も予想されていましたが、小川代行は無理をさせませんでした。『CS進出の天王山はもっと後に来る』と考えたのでしょうが、結果的に次の中日戦に館山、村中を先発させることも可能となりました。中日はこの18日からのヤクルト3連戦が1つの山場になりました」(球界関係者)
中日がヤクルトとの3連戦を戦う間、2位・巨人は3位・阪神との直接対決を迎える。中日が最多勝争いに残った村中と、昨季の最多勝・館山に足元を救われるようなことになれば、『由規の温存策』が、巨人、阪神の勝ち越した側を利する結果ともなる。しかも、中日のローテーション上では、このヤクルト3連戦にチェンも吉見も出て来ない。もちろん勝ち越せば、優勝の確率はグッと高まるのだが…。最多勝争いを演じる下位チームの先発投手たちがペナントレースの行方を左右することは間違いないようだ。