ヤンキースは単年で年俸500万ドル(約4億1000万円)プラス出来高の条件提示をしているもよう。イチローには他球団から、ヤンキースの条件を超えるオファーも届いているが、残留を選択するようだ。
イチローの今季年俸は1800万ドル(約14億4000万円)とみられており、この条件を受け入れれば、約10億円の大幅減俸となる。
決め手となったのは「優勝争い」だった。万年下位のマリナーズに在籍していたイチローは、昨季から成績が降下。今季も移籍する7月22日(日本時間23日)までは、95試合出場、402打数105安打28打点4本塁打15盗塁、打率.261と低迷した。ところが、ヤンキースに移籍すると、67試合出場、227打数73安打5本塁打27打点14盗塁、打率.322と、飛躍的に成績が急上昇した。
イチローを変えたのは、“モチベーション”の差だった。優勝争いの緊張感のなかで、眠っていた潜在能力を爆発させた。
ヤンキースは残念ながらプレーオフで敗退し、ワールドシリーズ進出を逃したが、地区優勝、プレーオフを経験したイチローは「ボクがアメリカに来て理想としていたものがここにある。ここでしか味わえないものは確実に存在する」と話していた。
ヤンキースの外野陣は左翼にブレット・ガードナー(29)、中堅にカーティス・グランダーソン(31)、右翼にニック・スウィシャー(32)がいる。今季、ガードナーが右ヒジの故障で、ほぼシーズンを棒に振ったため、イチローは左翼に入ることが多かった。そのガードナーは故障も癒え、来季は戦線復帰する。一方、FAとなったスウィシャーは条件面でヤンキースと折り合わず、放出が決定的となったことが、イチローの残留に拍車をかけた。
カネよりハートを優先させたイチローは、来季も名門ヤンキースのユニフォームを着ることになりそうだ。
(落合一郎)