横浜魚市場問屋一同よりと揮毫された22社連名の贈呈額が、座敷の壁面にどんと飾られている。日曜の夜に満員ということは、降りつける雨に顔色ひとつ変えないということは、みんな地元の方ですのね。
本寸法の割烹でした。お造りも、焼き物も、たいへん結構でした。この夜、20人からの注文を次々に捌(さば)いているのは細面の女将。いくらなんでもお一人ではと心配していたら、のっとご主人が現れた。コホン。あ、良かったです。隣の客から地元の話を聞かせていただきました。
全国各地にたくさん建てられている「近代美術館」なるものは、神奈川県鎌倉市をもって嚆矢(こうし)とすること。初代館長を務められた土方定一という方は…とにかく偉い方だったそうであります。なにかこの、全体に横浜って文化を大事にされてますね。野毛地区だけでも、2004年から雑誌「野毛通信」が、07年からは「野毛新聞」が刊行され、有料、無料を問わず、さまざまなパフォーマンスの告知で満載。飲食街も「野毛飲兵衛ラリー」を企画し、専用パスポートまで発行する凝りようは尋常ではありません。
無料の横浜ガイドマップ「旅うらら」も、そこらの急づくろいの町興しパンフレットとは雲泥の出来ばえだし。いかん、贈呈額の下の酔っ払いたちが急に立派に見えてきた。おまかせ寿司で締めます。雨が上がっても、この人たち結局だれも帰らない…。
予算2500円
神奈川県横浜市中区野毛町2-64