■いつの時代も新しい世界を
振り返ると、いつの時代でも『開拓者』の如く、次々と未知の扉を開け、新しい景色を見せてくれた。
「日本をワールドカップに連れていく」
カズの口からその言葉を聞いてから、だいぶ経った。日本にプロサッカーリーグが出来る、もう少し前だったか。
すでにプロとして活躍していたブラジルから日本へ戻ると、間もなく日本代表に選出され、常に目指すべき場所であるとしてその存在を伝え続けてきた。
やがて日本サッカーは未踏の領域だったW杯に辿り着く。そこはまさにサッカーの頂点であり、最高峰ともいえる場所であることを知った(また、本大会に至るまでのW杯予選がいかに過酷であり、残酷な「戦場」であることも)。その後も、イタリア、クロアチア、オーストラリアに渡り、我々ファンを様々な場所へ導いてくれている。
カズは昨年12月、モスクワで開かれたロシア・ワールドカップの組み合わせ抽選会に「レジェンド」として招かれている。
同じく世界中から集まったレジェンドたちと共に会場やホテルで時間を過ごしたという。後に、その時の気持ちとして、「日本がW杯連続出場を果たせるまでになれたのは、携わった皆の頑張りのおかげであり(その結果として)、自分がこのような華やかな場所(抽選会)に居られる。サポーターの皆さん、協会の皆さん、選手たちにありがとうと言いたい」と、カズらしい言葉で感謝の意を示している。
ただ、そのような交流が行えることはカズそのものの功績も大きく、そういったエピソードを伝え知ることが出来るのは、やはりカズのおかげであることは間違いない。
■カズのプレーを観る喜び
昨年末、先日、横浜FCへの完全移籍が発表された元日本代表の松井大輔は会見の席で、「カズさんと一緒にサッカーを出来たらと思い、決めた」とその理由を語っている。かつて京都サンガでも共にプレーしたこともあり、当時を「本当に楽しかった」振り返ったこともあった。
無論、ファンにとっても今シーズンもカズが選手でいてくれることは素直に、嬉しい。それは共にプレーする側だけでなく、観る者にとっても今なお、我々に新しい何かを提供してくれるのではないかと期待してしまうからに他ならない。
25日に開幕するJ2リーグ。今年もその舞台で躍動するカズの姿を胸を膨らませて待つ。今シーズンはどんなパフォーマンスを披露してくれるのか。カズのプレーにはサッカーというスポーツに出会えたことの喜びを大いに感じられる。
そして、6月に迫ったロシア・ワールドカップ。現役である以上、ピッチにカズが立つ可能性は決して0(ゼロ)ではない。そして、その姿を想像するのもまた、楽しい。(佐藤文孝)