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狙いは鳥谷ではなかった? 巨人・原監督が考える「FA抜き」の補強戦略とは

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原辰徳監督

 全ては、巨人・原辰徳監督(61)の決断次第だ。敵地・甲子園球場での3連戦2日目の8月31日だった。球団副代表の大塚淳弘氏が報道陣に囲まれ、渦中の鳥谷敬内野手(38)について質問された。

 「素晴らしい選手だと思います。ですが、考えておりません」

 鳥谷が阪神球団幹部から引退勧告を受けている件は、巨人サイドにも伝わっていた。シーズン中、それも、試合中の相手チームの選手のことを質問するのもおかしな話だが、“伏線”はあった。

 「阪神のことで複数の球団が調査していました。メジャー球団も調べていました。誰のことを調べていたのか、最近になって分かったんですが、相手はジョンソンですよ。右の中継ぎ投手である彼は1年契約です。50試合に登板し、防御率は1・07。190人以上のバッターと対戦し、四死球は11。まだ28歳と若く、メジャー時代はさほど評価は高くなかったんですが、『こんなにスゴイ投手だったのか』と、各球団が熱視線を送っていました」(球界関係者)

 また、昨年オフの巨人は“ひと仕事を終えた”感もあった投打のベテラン、中島宏之と岩隈久志を獲得した。戦力として復活を信じていたのだろうが、「ベテランの奮闘が与える若手への刺激」という相乗効果も期待しての獲得だった。

 ジョンソンの調査を「鳥谷か?」と勘違いしたこと、そして、ベテランによる相乗効果が“場違いな質問”につながったようだが、原監督は来季に向けてすでに動き始めていた。

 「スカウトによる高校球児、ドラフト候補の現状が定期的に原監督に報告されています。一時はクローザータイプのピッチャーをドラフト補強したいと考えていたようですが、中川皓太を育てると決めたのでしょう。高校生のピッチャーを獲って、育てていこうとしています。若い捕手も獲るかもしれません」(ベテラン記者)

 原監督は内野、外野ともに若手選手の成長に手応えを感じている。獲得するとすれば、今季に頭角を現した増田、若林、山本らよりも「4、5歳年下」と考えているそうだ。

 また、こんな情報も聞かれた。

 「今季、巨人は4人の育成選手を支配下登録しました。興味深いのは、支配下登録とトレード期日である7月末日の直前にピッチャーの堀岡隼人(21)を登録したことです。成長著しい若手を支配下登録したということは、今オフ、巨人は国内FA市場に手を出さないと解釈した球団も少なくありません」(プロ野球解説者)

 どういう意味かというと、FA選手を獲得すれば、人的補償が発生する。プロテクト名簿に記載できるのは28人まで。支配下登録した選手が増えれば、プロテクトする名簿の作成作業が難しくなる。過去、オフのFA補強を予定していた球団が育成選手の昇格を次年度に先送りすることもあったそうだ。

 とはいえ、若手の成長には同年代のライバル、的確なアドバイスを送ることのできるベテランは欠かせない。原監督は若手野手をどうやって発奮させるつもりなのか…。ドラフト会議は高校生投手を中心としたもの、そして、FA市場にも手を出さないとすれば、“死に場所”を求めてさまよう自由契約選手がクローズアップされてくる。優勝カウントダウンが始まったものの、広島との対戦成績は5年連続での負け越しが決定した。やはり、巨人はオフに何か仕掛けてくると見るべきだろう。(スポーツライター・飯山満)

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